別冊ユニフォーム総合特集(17)/素材・副資材/SDGs、環境配慮へ強力に支援/東レ/インビスタ「コーデュラ」/東洋紡せんい/帝人フロンティア
2022年11月15日 (火曜日)
SDGs(持続可能な開発目標)に向けて活動を活発にする企業が増えている中で、それらの企業へ供給するユニフォームもSDGsに沿った提案がなければ、見向きもされないような時代へと入ってきた。ユニフォームメーカーは素材・副資材メーカーとSDGsや環境配慮で連携しながら、新たなストーリー性を持った商品開発に挑む。
〈東レ/環境配慮型原料へ転換加速〉
東レは、ユニフォーム素材でも再生ポリエステル「&+」(アンドプラス)やバイオ原料ポリエステル「エコディア」PET、バイオ原料ナイロン「エコディア」ナイロンなど環境配慮型原料への転換を加速させる。
このほど開催したユニフォーム総合展でもワーキング、オフィス・サービス、スクールの各用途で使用するポリエステルやナイロンをアンドプラスやエコディアに置き換えたタイプを提案した。
使用済みユニフォームの回収・リサイクルシステムの構築にも取り組む。現在、環境生活文化機構のリサイクルマーク事業や、出資もしているエコログ・リサイクリング・ジャパン(広島県福山市)の繊維製品回収循環型マテリアルリサイクルシステムに参画している。今後、使用済みユニフォームの回収・リサイクルシステムの構築にも取り組む。
環境配慮と同時に、ストレッチ性や軽量性など着心地に直結する機能を重視。ワークウエア用途では、特殊フィラメントによるストレッチ織・編み物「ライトフィックス」や高通気・麻調織・編み物「シャミラン」などを提案する。汗ジミ防止機能付き吸汗速乾素材「ソリテクト」もワーキング用途に投入する。
〈インビスタ「コーデュラ」/“格好良い”に貢献できる〉
インビスタジャパンは、先月福岡市内で開かれた「緑十字展2022~働く人の安心づくりフェア~」に出展した。高強力ナイロン「コーデュラ」ブランドで国内の展示会に参加するのは初めて。これまでワークウエアのショップ向けの企画に販売を伸ばしてきたが、今後は企業納入向けへもアプローチをかける。
同展では約180社と名刺交換した。企業の備品調達や安全の担当者と「かなり接点を持てた」と、川﨑隆史パフォーマンスソリューションズ事業部機能資材・アパレル部長。今回、ユニフォーム製造販売の辰野(大阪市中央区)とも連携しながら発信し、製品供給まで含めた提案もできた。
九州を中心にユニフォーム販売店の関係者の来場も目立った。「普段知り合えない販売店に対してもPRができた」。今後もさまざまな展示会への出展を検討する。
コーデュラは腰袋で著名な「ニックス」ブランドに採用されたことで、エンドユーザーへの知名度が高まり、ワークウエアでもコーデュラのタグが付いていれば手に取ってもらえる機会が増加。会員制交流サイト(SNS)などを通じて直接エンドユーザーへ自ら発信できる点も強みだ。
「格好良いから、このウエアを買うというユーザーが多いはず」。だからこそ「格好良いワークウエアの企画に貢献できる」点を磨きながら新たな販路の開拓につなげる。
〈東洋紡せんい/高密ニット生地を拡充〉
東洋紡せんいは、ワークウエアでも存在感が高まっているニット生地の提案を強化する。“安心・安全”を切り口とした機能性織物のラインアップも拡充した。
ユニフォーム分野では、サービスユニフォームなどを中心にニット生地のシェアが高まっているが、ここに来てワークウエアでも同様の流れが強まる。同社もポリエステル長繊維高密度編み地「スクラムテック」をユニフォーム用途に投入した。ワークウエアでは特に耐久性も求められることから、抗ピリング性や耐スナッギング性を高めた「スクラムテックU」も新たにラインアップに加えた。
一方、機能性織物では綿100%難燃加工生地「レジスファイアー」など安心・安全に焦点を当てる素材の提案に力を入れる。難燃生地は素材難燃が多いが、同社は綿100%後加工難燃素材にも底堅い需要があるとみている。
同社は今年4月、東洋紡STCの繊維事業と東洋紡ユニプロダクツが統合して発足した。生地開発から製品納入まで一貫で担う体制が整備されたことを生かし、ユニフォーム分野でも全方位での開発・提案・販売に取り組む。
〈帝人フロンティア/一般作業服向け難燃生地開発〉
帝人フロンティアは、一般作業服向けの難燃生地「CFR」(仮称)を新たに打ち出す。モダクリルとレーヨン、PTT繊維「ソロテックス」を組み合わせており、ソフトな風合いや環境対応などの特徴を持つ。多色展開も可能だ。23秋冬物から織物と丸編みの両方で展開する。
モダクリルを使った素材では、ポリエステル混の生地を消防団員向け活動服用途に販売している。メタ系アラミド繊維を使用せずに日本防炎協会の活動服基準に対応しているが、展開色が限定されていた。CFRは同協会の作業服基準に対応しつつ、従来の生地にはなかった特徴を付与することに成功した。
モダクリル(50%)、レーヨン(25%)、ソロテックス(25%)の混紡率の最適化のほか、撚り係数や番手も適正化した。密度や目付、組織などの生地設計も工夫を施し、難燃性、強度、多色展開、環境対応(ソロテックスが部分植物由来原料使用)、コスト抑制などを可能にした。
日本防炎協会のほか、JIS/ISOの難燃作業服規格にも応じる。ソロテックスの複合率を高めることで、難燃性を維持しながらエコマークにも対応する。価格は1メートル当たり(150センチ幅)で1500~1600円で、モダクリル・ポリエステル混生地と比べ15~20%抑えた。2023年度に5万メートルの販売を目指す。