LIVING-BIZ vol.88(9)/伊藤忠商事/エアウィーヴ/ロマンス小杉/大津コーポレーション/アルテモンド/日本毛布工組/亀井ふとん店

2022年11月16日 (水曜日)

〈伊藤忠商事/寝具ブランド「カサネル」展開へ/ほこり出にくい中わたで〉

 伊藤忠商事は独自の寝具ブランド「CASANERU(カサネル)」を開発した。23秋冬をめどに市場投入を目指す。撚糸・染色・トーションレースなどを手掛ける金田繊維(石川県能美市)の長繊維人工中わた「ノミウォーマー」を採用。ほこりが出にくいため、アレルギー対策も視野に入れ訴求する。

 ノミウォーマーは「ソロテックス」と「ベンベルグ」の複合素材を特殊な編立加工でシート状にし、ミルフィーユのように何層も重ねたもの。ふっくらした空気層ができて羽毛と同程度の保温性がありながら、長繊維として連結されているためキルティングの制約による中わたの下落・移動が起きず、羽毛や短繊維に比べてほこりの発生を100分の1以下に抑えられるという。ストレッチ性、吸放湿性にも富む。

 こうした特性から、2022年度の「プレミアム石川ブランド製品」にも選ばれた。これは石川県内の中小企業が開発・改良した、ブランド化が期待される製品を認定するもので、“プレミアム”は最優秀賞にあたる。

 伊藤忠商事はOEMなどで寝具も手掛けており、モノ作りの知見も豊富。ノミウォーマーは基本的に9層で1パッケージとなっており、軽く柔らかな感触と保温性、ダストフリーを切り口に、肌掛けやベビー・キッズの掛けふとんなどを展開する考え。スペイン語で家を意味する“CASA”、睡眠の“NERU”、中わたを何層も“重ねる”ことを掛け合わせた造語の「カサネル」ブランドとして、金田繊維とともに製品化を進める。

 10月に東京ビッグサイトで開かれた「第2回サステナブルファッションEXPO【秋】」で初披露すると、大手ホームファッションチェーンや百貨店などから注目され、好感触を得た。

〈エアウィーヴ/福島に新工場開設/国内3カ所目の生産拠点〉

 エアウィーヴは、福島県国見町に新工場を新設し、このほど稼働した。愛知県、滋賀県の既存工場に加えて、3カ所目の生産拠点となり生産体制を強化する。

 福島の新工場に最新鋭の機器を導入し、素材の成形から製品の梱包(こんぽう)まで全ての工程を一貫で行い、生産効率を改善させた。今後も高まると見込むベッドマットレスの需要に応えるとともに、関東以北への配送を分担して迅速に届ける。

 投資額は12億円。敷地面積1万7149平方メートル、延床面積6206平方メートル。従業員は50人で、次年度以降60人体制にする予定。

 生産拠点はほかに、幸田工場(愛知県幸田町)、長浜工場(滋賀県長浜市)がある。生産拠点を分散させることで災害時の事業継続計画(BCP)にも役立てる。

〈ロマンス小杉/睡眠環境の質高めるパジャマ/「マクアケ」で販売〉

 寝具製造卸のロマンス小杉(京都市)は、睡眠環境の質を高めるパジャマ「ウェルネスパジャマ」を開発し、クラウドファンディングサービス「マクアケ」で先行販売を始めた。

 2年かけて開発した。寝返り時に肩にかかる圧力を約70%カット(自社他製品比)する「3Dパネル構造」を採用したほか、繊維間に多くの空気を含んでふっくらとした優しい肌触りと優れた保温性が特徴の綿「エアリーブコットン」を使用。肌側の生地に起毛加工を施すことで着用時のひんやり感を軽減する。

 着用時に上着の袖、パンツの裾の開口部をなくし、温めた空気を逃がさない設計にすることで、手足を冷気から守り、温めて体をリラックスした状態にする。縫製も縫い目をフラットにすることで、ゴロつきを解消し、肌への摩擦や刺激を軽減する。

 価格は9900円から。マクアケでは割引価格で販売し、573万円を売り上げた。

〈大津コーポレーション/天然素材使い充実/国産ガーゼケットなどで〉

 寝具製造卸の大津コーポレーション(大阪市中央区)は23春夏向け寝具で、前春夏に好評だった天然素材使いを充実させる。

 22春夏は「麻など天然素材使いが良かった」と言う。23春夏向けは麻使いのプリントなどを充実させるとともに、和紙糸使いの国産ガーゼケットを打ち出す。

 国産ガーゼケット「うらら」は、表面の緯糸に和紙糸100%を使用。速乾性に優れ細菌が繁殖しにくい。和歌山県高野口のインナーパイル織で、ガーゼでパイルを包んだような構造のため、空気を含んでふっくらとした柔らかさが特徴。裏面は綿ガーゼを使用し、和紙と綿の吸湿性が蒸れを軽減してさらっと心地よく使える。

 うららの敷パッドも提案する。

〈アルテモンド/22年9月期1%増収/寝装品や介護用品向け拡販〉

 ホームファッションテキスタイルを備蓄販売するアルテモンド(大阪市中央区)の2022年9月期売上高は、前期比1%増だった。

 新型コロナウイルス禍による巣ごもり需要の反動減で切り売りは減収だったが、高級寝装品向けや介護用品向けがけん引した。原材料などのコスト増を受けて10月に値上げしたが、値上げ前に顧客が購入する動きもあったと言う。

 23年9月期は、寝具・インテリアなどの製造小売店への販売を強化するほか、訪日外国人が戻りつつあるホテル用途も拡販する。ホテル用途は、ポリエステルサテンジャカードで光沢感が特徴の薄手タイプ、肉厚タイプなどがベッドカバーやベッドスローに採用されている。

 同社は、寝装品やカーテンなど大物にも適した150センチの広幅、約千種類の柄色を常備在庫し、1メートルから対応する機動力が強み。今期は綿オックスのプリント16柄71色などを加えて拡販を図る。

〈日本毛布工組/事務所移転〉

 日本毛布工業組合(森口和信理事長)は1日、事務所を移転した。新住所は大阪府泉大津市旭町22の45  テクスピア大阪3階。電話は0725・33・4185、ファクスは0725・32・5661。1日から業務を始めている。これまで事務所があった同市内の工連ビルは売却する。

〈亀井ふとん店解散〉

 信用交換所によると、寝具小売りの亀井ふとん店(愛媛県新居浜市、加藤明成代表清算人)は、9月30日開催の株主総会の決議により解散した。