復活を期す商社繊維事業 2022年4~9月期決算から(3)/スポーツ・アウトドアに活路/帝人フロンティア/東レインターナショナル/旭化成アドバンス

2022年12月07日 (水曜日)

〈欧米と中国向けが好調/帝人フロンティア〉

 帝人フロンティア(帝人の繊維・製品事業の連結業績)は、売上高1584億円(前年同期比18・7%増)、営業利益52億8200万円(47・8%増)で増収増益だった。衣料繊維は欧米・中国向けの生地が好調で、産業資材は人工皮革が堅調に推移した。

 衣料繊維では、欧米向けのスポーツ・アウトドア用生地、中国での素材・製品販売が伸びた。原燃料価格や物流費の高騰の影響はあったが、販売価格改定に努めた。

 衣料繊維分野、産業資材分野ともに販売は好調ながら、欧米の生活コスト高騰に伴う消費マインドの減退、ゼロコロナ政策による中国市場の減速などを懸念材料とする。今年度下半期から来期は、環境戦略の推進や新規事業の収益化といった施策を進める。

〈大手SPA向け好調に推移/東レインターナショナル〉

 東レインターナショナル(単体)は、売上高3260億円(前年同期比19・3%増)、営業利益65億3600万円(11・1%増)、経常利益113億円(48・0%増)、純利益91億5600万円(49・7%増)で増収増益だった。電子情報材料を除く全事業分野で増収を達成した。

 事業別の売上高は、衣料素材が432億円で31・7%増。インテリア分野が苦戦したものの、衣料用ファイバー、自動車用とスポーツ用の生地販売が堅調に推移した。繊維資材・物資は279億円で11・6%増。自動車用途や羊毛・毛皮関連が底堅く動いた。アパレルは大手SPA向けが好調に推移し、802億円で21・6%増えた。

 今期の業績予想は売上高6469億円、営業利益123億円、経常利益186億円、純利益145億円。

〈繊維、樹脂化学品伸長/旭化成アドバンス〉

 旭化成アドバンス(単体)は、売上高300億円で前年同期比11・1%増、営業利益は7億4千万円で前年並みだった(21年度から収益認識基準適用)。繊維事業と樹脂化学品は伸びたが、建材が振るわなかった。

 為替変動やエネルギー価格上昇による素材コストアップが続く中、各事業領域で価格転嫁を進めた。事業別では、繊維でアウトドア関連を中心とするファッション衣料系が収益に貢献した。海外子会社は中国の市場回復、北米の資材用途などが伸長した。

 下半期以降もサステイナブル(環境・省人化)、メディカル・ヘルスケア(健康・安全)、車両関連などの強化を推進する。繊維ではサステイナブル素材の統合・冠ブランド「エコセンサー」のブランド戦略を加速する。