特集 スクールスポーツウエア(3)/スクールスポーツ事業インタビュー/トンボ/明石スクールユニフォームカンパニー

2022年12月09日 (金曜日)

〈トンボ/取締役 営業統括本部 副本部長 井原 長武 氏/新規獲得校は今春以上に/「アンダーアーマー」投入〉

  ――来入学商戦に向けて進捗(しんちょく)はいかがですか。

 部活、マーチングウエア含め、現時点で220校の新規校を獲得しています。前年同時期の獲得数が約180校だったことから、前年よりも前倒しで推移しているという状況です。来春の新規校の獲得数は今春よりも増える見込みです。

  ――その要因は何でしょうか。

 独自の軽量ポリエステルニットを採用する「ピステックス」使いのウオームアップウエア、「ピストレ」が好調です。撥水(はっすい)や防融など、特徴の異なる7種類の生地をそろえており、体育着に求められるニーズのほとんどをカバーしていることが支持を得ています。

 中でも裏起毛を持つ生地や、撥水に加え吸汗速乾機能を付与した生地などが好評です。

 ピストレも展開する自社ブランドの「ビクトリー」は採用が年々増えています。オリジナルのデザインを施すことのできる昇華転写プリントが好評で、新規獲得校のうち半数が同ブランドの採用となっています。

  ――今年、新たに「アンダーアーマー」ブランドの展開に乗り出しました。

 2023年のデザインテーマは「アイコニックスタイル」です。同ブランドの特徴であるシンプルでスタイリッシュなウエアに加え、昇華転写プリントでカムフラージュ柄を表現したウエアをそろえるなど、当社がこれまで培ってきたノウハウを生かしながら提案を進めています。

 来入学商戦では新規獲得校100校を目標としています。今後も着る人のモチベーションを上げるような商品を拡充し、3年後に新規校200校の獲得を目指します。

  ――工場の稼働状況や設備投資について。

 生産状況は順調です。スクールスポーツウエア専門の工場であるトンボ倉吉工房スポーツ館(鳥取県倉吉市)は設立から5年目を迎えます。前期に1ラインを増設するなどキャパシティーの拡大を進めてきており、生産効率も上がってきました。

 スクールスポーツウエアやヘルスケアウエアを生産する美咲工場(岡山県美咲町)には今年、昇華転写用のCAM(自動裁断機)を新たに1台導入しました。増えつつある昇華転写プリントに対応していきます。

〈明石スクールユニフォームカンパニー/営業本部 前田 健太郎 氏/12月期は増収見通し/来春に向けても受注順調〉

――スクールスポーツ部の2022年12月期の見通しはいかがですか。

 計画よりも上振れしていきそうです。新型コロナウイルス禍で自粛が続いていた体育祭などのイベントが今年は復活してきたことから買い替え需要が増えました。

 学生服では性的少数者(LGBTQ)に配慮する流れで、中学校を中心にブレザーの採用が広がっています。体育着も制服と一緒に変えようとする動きもあり、底上げにつながっています。年末までスポーツ商戦は続きますが、さらに上積みをしていきます。

――ライセンスブランドの「デサント」、自社ブランド「アスリッシュ」の採用状況は。

 今春はデサントで120~130校の新規採用を獲得し、累計採用校は2100校ほどになりました。

 今春はストレッチ性などを備える生地の「デサントハイブリッド」、来春に向けては過去のモデルをリバイバルさせたデザインの「デサントネクサス」が支持されています。シェアが低いエリアに対し、ブランド力を武器に開拓が進んだことも奏功しました。

 アスリッシュでは今春、20校ほどの新規採用校を確保して、累計採用校は60~70校となりました。ハイブリッド触媒「ティオティオプレミアム」加工を施して抗菌や消臭効果などを追加した「アスリッシュ+(プラス)」などで評価を得ています。

 来入学商戦に向けても、現時点でデサントは100校、アスリッシュは15校ほどの新規校を獲得できており、今春並みの獲得数を確保できそうです。

――AI(人工知能)による採寸も広がってきました。

 “3密”を避けられることに加え、学校側の負担軽減にもつながることから採用が増えています。今春、5千人の生徒が活用しましたが、来春は1万人以上になってきそうで、この先も採用は加速していくでしょう。同採寸による交換率は3%以内。採寸の精度も高まっています。

――国内の縫製キャパシティーが不足しています。

 早い段階から生産の一部を海外にシフトしてきましたが、繁忙期の見通しは昨年よりも厳しいと感じています。来年1~3月にも追加対応時に混乱が生じないようにあらゆる手を打っていきます。