帝人フロンティア/生分解性と実用性のPLA開発/23年度中に販売開始

2022年12月13日 (火曜日)

 帝人フロンティアは、生分解性と実用性を両立したポリ乳酸(PLA)樹脂を開発した。ポリマーに生分解促進剤を添加し、強度や成型性などを維持しながら、従来品と比べて海洋・河川や土壌中での生分解速度を速めることに成功した。2023年度中にペレットや射出・押出成形品、生地・不織布加工品の生産・販売を始める。

 PLA樹脂は、一般的に植物由来成分を原料にしていることや生分解性を持つことなどから注目を集めている。ただ、海洋・河川や土壌中では生分解速度が遅いという課題があり、生分解性を向上させると強度が落ちるといった実用性を損なう問題点も残っていた。

 それらを解決したのが今回開発したPLA樹脂だ。一般的にPLAポリマーは加水分解によって1万Mn(数平均分子量)未満になると細菌や菌類が捕食でき、CO2や水に分解される。開発品は生分解促進剤によって加水分解が促され、無添加品と比べて早く分子量が小さくなる。結果、生分解速度が上がる。

 促進剤の添加量や条件を調整することで分解期間の制御も可能とし、農業や漁業に関連する資材への応用の場合は希望耐用年数に応じて期間の設定もできるという。同社の社内試験では約6カ月から約2年。植物由来成分を原料としており、ライフサイクル期間内でのCO2の排出量削減に貢献する。26年度には数億円規模の売り上げを目指す。