クラボウ/難燃2本柱で販売加速/「プロバン」「ブレバノ」

2022年12月14日 (水曜日)

 クラボウは、綿100%を中心とした後加工難燃「プロバン」と、モダクリル・綿混を中心とした素材難燃「ブレバノ」の2本柱で難燃素材の販売を加速する。プロバンでは綿100%ストレッチなど新たな加工開発に着手。国内外へ「互いの弱点を相互補完」(繊維事業部の絹本良和ユニフォーム部長)しながら両素材の販路開拓を進める。

 電力やガス、製造などさまざま業種で、従業員の安全性への配慮から難燃素材の需要が増えている。同社は今年8月にベルギーのソルベイ社とプロバンに関するライセンス契約を結んだ。大和紡績がライセンス契約を保有していたが、今後はクラボウが加工を担い、販売はこれまで通り両社が担当する形となる。プロバンと、既存から展開してきたブレバノの両軸で需要が拡大する難燃素材の市場を深耕する。

 プロバンの加工設備を徳島工場(徳島県阿南市)に移設し、年明けから試験加工を開始。来年4月からバルク生産に乗り出し、本格的な販売を始める。これまでブレバノが不得手としていた耐スパッタ(火の粉)性能の高さを生かし、鉄鋼向けを中心に販促を強める。

 プロバンは従来、綿100%素材のみの展開だったが、それ以外への加工も開発を進めている。ワークウエアで売れ筋になりつつある綿100%ストレッチ「バンジーコットン」をはじめ、綿・ナイロン混、綿・ポリエステル混などを開発中で、幅広い用途へ提案できるようにする。

 難燃のエプロンや手袋などの安全保護分野では引き続き大和紡績のルートで拡販。今後、販売量で年間5~10%の拡大を目指す。

 ブレバノは日本の防炎基準に対応した「ブレバノプラス」、海外の防炎基準と日本のハイレベルな防炎基準に対応した「ブレバノネクスト」などを展開。ここ数年は販売量で5~10%増と伸ばしている。

 今後はブレバノとプロバンの2本柱で、ワークウエア向けにより幅広い分野へ展開。アウトドアをはじめ、カジュアルや資材などへも販路を広げる。

 さらにプロバンではアジアを中心に約10カ国での販売ライセンスを取得しており、輸出にも力を入れる。具体的な国名は非公表だが、「アジアでも安全に対する意識が高まっている」(絹本ユニフォーム部長)として、日本企業の系列や提携する工場などへ提案し市場開拓の足掛かりを作る。