帝人、日揮、伊藤忠合弁/システム構築提案も/ケミカル再生技術供与で

2022年12月21日 (水曜日)

 帝人、日揮ホールディングス(HD)、伊藤忠商事が3社合弁で設立予定のポリエステル・ケミカルリサイクル技術のラインセンスを行う「RePEaT(リピート)」は、帝人が持つ同技術をさらにブラッシュアップしたものを国内外にライセンス供与する。製品回収システムの提案も重視する。

 リピートは今月、3者で合弁契約を締結。予定より少し遅れているものの、近々、発足する予定と言う。資本金は1億円で、出資比率は帝人45%、日揮HD45%、伊藤忠10%。

 3社協働によるこのプロジェクトはケミカルリサイクル技術を持つ帝人が2019年に、プラント建設実績と知見を持つ日揮HD、国内外に幅広いネットワークを持つ伊藤忠に働き掛けたのが「その始まり」。その後、2021年4月に3社で共同協議書を締結していた。

 帝人は過去に日本と中国の合弁会社でポリエステル製品のケミカルリサイクルを事業化していた。その技術をベースに「歩留まりの改善やエネルギー効率を高めるなど、この1年をかけてブラッシュアップさせたもの」(日揮HD)をライセンス供与する。同時に原料となる使用済みポリエステル繊維製品の回収を含めたシステムも重要となるため、各国の法律に基づいたシステム構築の提案も合わせて行う。

 伊藤忠によれば世界各国でリサイクルや二酸化炭素発生削減が重視される中で「自国内で製品回収し、再生する地産地消のニーズが高まっている」と言う。その解決策としてケミカルリサイクル技術の需要は十二分にあると判断し、合弁会社設立に至った。

 このケミカルリサイクル技術は帝人が開発したDMT法によるもので、着色されたポリエステル繊維などから染料や不純物を除去し、モノマーに分解・変換。再重合して再生ポリエステル原料を製造する。石油由来のポリエステルと変わらない品質を実現できるのが特徴だ。

 マテリアルリサイクルによるペットボトル再生繊維はペットボトルを原料に繊維にリサイクルする1回だけの循環にとどまるが、ケミカルリサイクルは完全な循環型の再生技術と言える。繊維だけでなく、その他のポリエステル製品にも応用できる。