特集 オフィス&サービスウエア23春夏(5)/トップに聞く/2023年展望/ガードナー/サンリッチモード/アルトコーポレーション/エムズ/KAZEN WLD/明石スクールユニフォームカンパニー

2023年01月31日 (火曜日)

〈ガードナー 社長 矢澤 崇 氏/半導体、食品工場向け好調〉

 主要顧客となる半導体・精密機器企業をはじめ、食品、製薬、工業塗装工場の業況に連動して、ウエア需要はいずれも好調に推移している。新型コロナウイルス禍で制限されていた商談機会が増えていることも大きい。

 2022年12月期売上高は、計画より1年前倒しで40億円超え達成の見通しだ。ただ、前々期に発生したベトナムの都市封鎖で納期がずれ込んだ案件があったことや、値上げを実施したという要因も含む。今期(23年12月期)は引き続き主力商品の拡販に注力したい。為替の変動や物流費の高騰は収益への影響が大きいだけに特に注視している。

 サステイナビリティーへの取り組みとして、マテリアルリサイクルに取り組んでいる。自社ウエアを有償で回収し、反毛後に自動車内装材として再利用システムだが、実績数をもう少し積み上げていきたいと考えている。

〈サンリッチモード 社長 武田 一光 氏/グループシナジー生かす〉

 ホテル、ショップなどのサービス向けユニフォームを中心に販売量は伸びている。市況は回復基調に入ったとみているが、国際情勢を含めてさまざまな不安定要素があり、はっきりとした見通しを立てづらい状況だ。

 原材料や縫製加工料、物流費の高止まり、円安の影響から製品の値上げを実施している。並行して東レグループとしてのシナジーも生かした生産体制の立て直しに取り組む。ベトナム主力工場では品質と納期の安定化を図るための調整を進めている。

 売り上げの2割弱を占めるライフイノベーション事業にも注力する。特に使い切り高機能保護服「リブモア」の販売は、昨春発売した新製品をはじめ、ラインアップが増えたことや、暑熱対策としての認知が広がってきたこともあり手応えを感じている。介護用スライディングシートなどと合わせて拡販していきたい。

〈アルトコーポレーション 社長 廣瀬 由武 氏/ダイバーシティに対応〉

 ユニフォーム分野でもSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みを求める流れはさらに強くなるだろう。特にダイバーシティの面で強く感じている。オフィス、ワークウエア問わず、女性だけ男性だけといった製品は、受け入れられにくくなるかもしれない。男女共通のデザインコンセプトの製品を拡充するといった取り組みを進めることが大切だ。そういった意味で価格競争に巻き込まれないために高付加価値の製品作りを追求していきたい。

 23春夏製品では、東レ「エコディア」を採用したECシリーズを秋冬に続き強化していく方針。

 2023年2月期決算は減収利益横ばい見通しで、売り上げについては、前期に大型案件の受注があったことによる反動減が主要因。22年10月に商品値上げを実施した。本格的な回復基調に戻るのは、大手の更新案件が見込める25年2月期を見込む。

〈エムズ 副社長 速水 啓太郎 氏/ホテル案件中心に回復鮮明〉

 今秋冬は期初計画に対して約20%増と順調に推移しており、新型コロナウイルス禍からの回復基調がより鮮明になったと感じる。特にホテル関係からの引き合いがカタログ商品、別注問わず増加傾向だ。2023年6月期下半期も引き続き既存顧客を中心に受注の底上げを図っていく。

 昨年10月にサービスと介護向けウエアのカタログで一律10%、別注で10~20%の値上げを実施した。顧客の理解は得られたが、原材料の仕入れ価格や為替変動を考慮すると、この値上げ幅でも厳しいところがあり、今後の精査が必要と考えている。適正な利益を確保していく方針に変わりはない。

 売り上げ全体の4割を占めるレンタルサービスは、在庫管理の省力化やコストの平準化といったメリットを打ち出して新たな需要につなげたい。順調なゴルフキャディー向けユニフォームの販売をさらに加速化させていく。

〈KAZEN WLD 執行役員商品企画部長兼生産管理部長 江口 公英 氏/商品構成の再構築進める〉

 22秋冬の商況は、新型コロナウイルス感染者数の波に比例する動きとなっている。行動制限などの影響で従来通りの営業展開ができなかったことも影響しているのではないかとみている。前年比では徐々に回復傾向にあるが、2019年の水準にはまだ届いていない。

 コンテナ費や原油価格の高止まり、円安などの影響から、23春夏カタログで全商品を対象に平均10~15%未満の値上げを実施する。15年以来となる。

 ユーザー業種の景況に合わせて、新商品の投入を含めた商品構成の再構築を計画している。安定成長を続ける食品工場白衣関連は今期から、サービス業向けは24春夏から実施していく予定だ。

 SDGs(持続可能な開発目標)はサーキュラーエコノミーの実践に向けた取り組みをはじめ、全社で対応していく。

〈明石スクールユニフォームカンパニー 営業本部アクティブチャレンジ部 企画販売課長(チーフデザイナー) 伊藤 良太 氏/メディカル向け好調〉

 アクティブチャレンジ部の2022年12月期は前年対比増収だった。「ルコックスポルティフ」擁するメディカル向け単体だと前年比2桁%の増収と好調に推移。メディカル向け参入から8年がたち、全国的に受注を獲得できる力が付いてきた。従来のトリコットよりも薄く軽量で、防透性も備える「シルキートリコット」がヒット商品になったことも大きく寄与。一方でケア(介護)向けは介護施設の労働者不足などが影響して横ばい。ワークウエアもメディカル向けに注力するため縮小傾向だった。

 今期の重点課題は、病院顧客の新規開拓が“一丁目一番地”になる。「シルキートリコット」を引き続き強く打ち出していく。マスターパターンを二つ用意して、幅広い体形をカバーできるシリーズも引き続き訴求していく。