獣毛繊維の鑑別・混用率試験/機器分析がJIS化/ペプチド分析法で高精度に
2023年02月07日 (火曜日)
カシミヤなど獣毛繊維の鑑別・混用率試験法として、このほど獣毛ペプチド分析法による化学分析機器を使った試験方法が日本産業規格(JIS)として発効した。機器を使用することで従来の顕微鏡法では難しかった高精度の獣毛鑑別が可能になる。今回のJIS化で、獣毛ペプチド分析法による混用率試験方法が家庭用品品質表示法の根拠となる試験方法になることが期待される。
このほど発効したのは、獣毛ペプチド分析法による獣毛繊維混用率試験方法「JIS L1030―3―1 繊維製品の混用率試験方法―第3―1部:獣毛の繊維の機器分析―MALDI―TOFMSによる混用率試験」。
獣毛ペプチド分析法は、獣毛の構成成分の90%を占めるケラチンタンパク質のアミノ酸配列が動物ごとに異なることに着目している。タンパク質を断片化させたもの(ペプチド)を測定機器で分析することで獣毛種を鑑別する。試験装置には、マトリックス支援レーザー脱離イオン飛行時間質量分析計(MALDI―TOFMS)を使用する。
この装置はイオン化したペプチドを真空中で飛行させる。この際に質量電荷比が小さいものから順に検出器に到達し、この時間差からペプチドの分子量を測定する。動物ごとに特異的な分子量ピークが出現するため、これを基に動物種を判別し、ピークの比率から混用率を算出することができる。
ウールやカシミヤなど獣毛繊維の鑑別は、顕微鏡で繊維を観察し、獣毛表面のスケール形状や太さを基に目視で判別する顕微鏡法が一般的。ただ、熟練した技術が必要であり、判別できる獣毛種にも限りがある。カシミヤとヤクのように形状が極めて似ているものや、加工や染色の影響を受けると判別が難しい。
獣毛繊維の鑑別の難しさが、カシミヤの混用率偽装事件などを生む背景にある。このため客観的で化学的な方法で獣毛種を鑑別し、混用率を算出できる試験方法が求められ、獣毛ペプチド分析法が開発された。2018年には国際標準規格(ISO)に採用され「ISO20418―2」が発効した。これを基に今回のJISが策定された。
現在、ボーケン品質評価機構がJISに対応したMALDI―TOFMSによる獣毛鑑別・混用率試験を実施している。同機構では今回のJIS化を契機に、家庭用品品質表示法の根拠となる試験方法とするように関係各所に働き掛けを進める。




