日本エクスラン工業/極細アクリルでシェア拡大/マテリアルリサイクルも推進

2023年02月20日 (月曜日)

 東洋紡グループの日本エクスラン工業は、マイクロアクリル短繊維の打ち出しを強化し、衣料・リビング用途、産業資材用途ともにシェア拡大を目指す。環境配慮への要求も一段と強まっていることから、マテリアルリサイクルアクリルの提案にも積極的に取り組む。

 エクスラン事業部長を務める住谷龍明取締役によると、ここに来て同社のアクリル短繊維への引き合いが増加しているという。背景にあるのが、サプライヤーの一角だった三菱ケミカルグループのアクリル繊維事業からの撤退。3月末で生産を停止し、12月末には販売も終了する。このため原料切り替えに動く需要家からの問い合わせが増加した。

 住谷取締役は「肌着、レッグ、インナー、毛布、丸編み地など衣料・リビング用途、さらに産業資材用途も含めて需要家の要望に応える」と強調。特に国内市場で需要が高いマイクロアクリルに力を入れるとして、単糸繊度0・5デシテックスの「極衣」(ごくい)を改めて打ち出す。超極細繊度によるソフトタッチ、軽量性、抗ピリング性に優れる。これまでも大手インナーアパレルの保温肌着に採用されヒットするなど実績も豊富だ。

 アクリル紡績糸では異形断面アクリルとマイクロバルキーアクリルの複合でソフトさとボリュームを両立する「カルエアーラ」を打ち出す。極衣と合わせて、このほど愛知県一宮市で開催された糸の総合展「ジャパン・ヤーン・フェア」に東洋紡せんい、御幸毛織と共同出展し、提案を進めた。産業資材用途では電池セパレーターや特殊紙・不織布向けショートカットファイバーなどの提案に力を入れる。

 環境配慮素材も重視。工場で発生する廃棄アクリルをマテリアルリサイクルした「アクリケア」を積極的に提案する。リサイクル原料の投入量や履歴などを検証する国際認証「リサイクルド・クレーム・スタンダード(RCS)認証」の取得も進めている。

 こうした取り組みで、供給構造が変化するアクリル短繊維分野でのシェア拡大を目指す。