ドーコーボウ/スビン綿糸の販売拡大/高価格帯でも際立つ素材感で
2023年03月08日 (水曜日)
ドーコーボウ(大阪市中央区)は、インドの最高級超長綿スビン使いの原糸販売を伸ばしている。価格が通常の綿糸(40番手)と比べ1・5~2倍と高額だが、レディース向けニット製品を中心に「素材感を生かし、ストーリー性を求めるユーザーからの引き合いが増えている」(榎本崇営業部長)として、数年前から販売が2、3割増となっている。
スビン綿はインドの超長綿スジャータと、海島綿ビンセントを交配した世界で最も長く細い超長綿。繊維長は40㍉、繊度は3・2マイクロメートルで、南インドのセーラム地方でしか栽培されておらず、生産量もインド全体の0・03%に相当する850トンで希少性が高い。
その綿花のファーストピッキングのみを使い、協力工場のラムコグループの紡績工場で生産。同社が技術指導した最新鋭の設備をそろえ、日本式の技術指導によって、スビン綿特有の気品や美しい光沢感を持った綿糸に仕上げた。
収穫期にスビン綿だけを1年分手当していることから、原綿段階から品質基準を設定。「安定して供給できる」点も顧客から評価されつつある。
現状はセーターやTシャツなどニット製品向けが多い60双糸、80双糸、織物などへも使える30単糸を備蓄する。さまざまな用途に合わせ三子、四子といった撚糸加工などの別注対応も可能。試作のために小ロットから注文できる。
インド綿では他にも超長綿糸「マハバーラ」、長綿糸「シャンカール」も展開。米綿のスーピマ、エジプト綿のギザ使いの糸も販売している。2023年2月期業績はまだ新型コロナウイルス禍前までに戻っていないものの、高級志向が強まる中で、スビン綿使いが「予想に反して増えている」(榎本営業部長)と言う。
同社の売り上げ構成は糸売りが6割、残りが世界で同社のみ生産しているという両面パイル構造編み地「ソデス」などのテキスタイル販売となる。
昨年の原綿高の影響を引きずり、厳しい環境にあるものの、今期は売上高を「コロナ前までの水準に戻したい」(原雅宏社長)としている。