クラレトレーディング/サプライチェーン強化/人材の確保・育成も最重視

2023年03月30日 (木曜日)

 クラレトレーディングは2023年度(12月期)の重点施策として原料から最終製品までのサプライチェーンを一段と強化する。国内工場への設備投資も積極的に実施する。人材の確保・育成も最重要課題と位置付ける。

 山田武司社長は「クラレの独自性のある素材の付加価値を高めて最終製品につなげていくことが当社の役割」と強調。メーカー系商社として糸から製品まで一貫生産のサプライチェーンを持つ強みを一段と強化する。自家工場として岡山工場(岡山県倉敷市)と岡山富吉工場(岡山市)を持つが、化学品や不織布のほか、衣料繊維分野でも積極的な設備投資を実施する。

 クラレグループは現中期経営計画で「ネットワーキングから始めるイノベーション」を重要課題に掲げ、各事業、パートナー企業、取引先を有機的に連携させるためにイノベーションネットワーキングセンターを設置している。クラレトレーディングもこれに積極的に参画しており、クラレの独自性のある素材を加工し、「スポーツアパレルなど有力取引先に紹介する」ことで用途開発に取り組む。

 そのほか、人材の確保・育成も今期の重点課題に掲げる。エネルギー価格の高騰などコストアップが続いていることから、今期も引き続き価格転嫁による採算性の改善に取り組む。

 繊維事業に関しては、引き続きスポーツや産業資材用途が業績をリードするとみており、重点用途と位置付ける。人工皮革「クラリーノ」も電気自動車(EV)の内装材など新たな用途での需要拡大が続いていることから、積極的に需要の取り込みを進める。