ふとん地・寝具製造卸 展示会
2023年04月03日 (月曜日)
ふとん地・寝具製造卸が、大阪市内で開く23秋冬向け展示会の注目商品を紹介する。
〈生分解性ポリエステル使い/保温性高める生地・中材/蔭山〉
ふとん地製造卸の蔭山(大阪市中央区)は、23秋冬向けで熱に強い生分解性ポリエステル使いの羽毛ふとん“側”(中わたを入れる前の半製品)や、保温力を高める生地・中材を提案する。
従来の生分解性ポリエステルは熱に弱い点が課題だった。23秋冬向けで採用した生分解性ポリエステルは、国内ベンチャー企業が開発した素材で熱に強く、分散染料を使って羽毛ふとん側用生地を高温で染色する場合や、ダウンプルーフ加工(羽毛が吹き出さないように熱と圧力を加える)にも対応できる。
同生分解性ポリエステルは、特定条件のたい肥(愛知県にある牧場の温度の高いたい肥)に埋めると、水と二酸化炭素に分解する。焼却した場合と比べて二酸化炭素を4割程度削減できるという。
側のマチや縫い糸も同生分解性ポリエステルを使用し、たい肥化しやすくした。回収は羽毛ふとんメーカーなどが担い、羽毛を取り出してから側だけ送る形にする。
同生分解性ポリエステルは、ふとんの中わたとしても提案。側とともに使うことで回収・たい肥化しやすくできる利点がある。
保温力を高める生地では、22秋冬向けで83デシテックス、288フィラメントのハイカウントマイクロファイバーとレーヨンを使用した吸湿発熱性を高めた羽毛ふとん側「ファインマイクロRA―1」を提案。同社の従来品(ポリエステル×ポリエステル・綿の交織)の羽毛ふとん地との比較試験(ボーケン規格吸湿発熱性試験)では2℃高く、好評で備蓄品が完売したことから、23秋冬では「サーモウォーム」シリーズとして品ぞろえを拡充する。羽毛量を減らしても保温力を保ち、光熱費の値上がりや羽毛原料の高止まりにも対応する。
同シリーズにはファインマイクロRA―1のほか、体から放出される遠赤外線を蓄熱して保温する炭素系素材のグラフェンを使用した羽毛ふとん側、宇宙服にも使われている断熱素材「エアロゲル」使った特殊仕様の羽毛ふとん側・中材、アルミ使用の別注タイプの羽毛ふとん側「メタリック」を新たに加えた。
〈カポックを吹き込み可能に/健康的な体作りサポート/ダイトウボウ〉
ダイトウボウは、カポックや、廃棄羊毛を生かした素材使いのサステイナブル寝具の打ち出しを強める。
カポックは伐採せずに木の実からわた状の繊維だけを採取できるため環境配慮型の素材として再注目されている。中空構造の繊維で綿の8分の1の軽さも特徴。吸湿発熱機能もある。
インドネシア産のカポックを中国で不織布のシート状にした寝具向け中材は既に販売しているが、新たに中わたがカポック100%の吹き込みタイプの掛けふとんを4月の展示会で提案する予定だ。カポックは繊維長が短く軽いため、“側”(中わたを入れる前の半製品)に吹き込むことが難しいが、解綿工程を工夫することなどで可能にした。
廃棄ウールの活用も進める。廃棄する羊毛から可溶性ケラチンを抽出する特許を持ち、バインダーを工夫することなどで同ケラチンをポリエステル×ポリエステル・綿の交織に加工し、ウールの機能を付与した羽毛ふとん側も展示会で披露する予定。
マイナス電位を発生させる機能材を使用して健康的な体作りをサポートする製品「ディーサポートギア」シリーズも訴求する。
機能材は横浜のベンチャー企業が開発したもので、カーボンなどの圧電性粉末・保持材・導電材などを混合している。マイナス電位を半永久的に発生させる点が特徴で、生体電流の補正やその効果で良質な睡眠や健康的な体作りをサポートする。疲労軽減効果も期待できる。敷パッドやインソールなどのアイテムへ広げている。寝具は、一般社団法人日本ホームヘルス機器協会から健康増進機器の認定も受けている。インソールは理美容向けルートなどで販売し、立ち仕事をする人の足の疲れを軽減するアイテムとして訴求する。
これまでポリエチレンに機能材を練り込んで網目状にしたり、機能材を後加工で含浸させたりして使用してきたが、新たにレーヨンに機能材を練り込んだディーサポートギアを打ち出す。レーヨン使いにすることで、より肌に近いレッグウオーマーやボディウオーマーで展開する。




