カケン/3カ年の新中計始動/人への投資に年間5千万円

2023年04月04日 (火曜日)

 カケンテストセンター(カケン)は、2023年度(24年3月期)を初年度とする3カ年の中期経営計画を始動した。人や社会貢献を重視する中計と位置付け、人材には年間5千万円の投資を実施して確保・育成を図るとともに、女性管理職比率を15%に高める。事業収入(売上高)については国内で年間1%、海外で同1・5%の拡大を目指す。

 4月に始動した新中計について寺坂理事長は「職員と社会貢献、顧客との関係強化の三つの角度から取り組む」とし、中でも「人」に重きを置く。前中計の最終年度だった22年度も年間5千万円の人材投資を予定していたが不十分に終わり、新中計では3年間累計で1億5千万円の投資を着実に実行する。

 人材投資では、さまざまなメニューや仕組みを用意し、国内の職員はもちろん、海外のナショナルスタッフ(NS)の確保・育成にも力を入れる。女性の活躍にも目を向けている。23年3月末時点で11・8%だった女性管理職の比率を25年度までに15%に引き上げる方針を示す。

 社会への貢献では、二酸化炭素(CO2)の排出量削減に取り組む。カケン自身が排出しているCO2を明確化した上で、21年度比で30年度に50%削減するという目標を掲げた。1日付で、サステイナビリティーを推進するための部署を立ち上げ、本部などに設置した。

 社会貢献と顧客との関係強化の両方に関連するが、SDGs(持続可能な開発目標)やカーボンニュートラル、リサイクルなどに対応する新しい試験技術の開発にも挑戦する。CSRやトレーサビリティー関連へも積極的に参画する。非繊維以外の試験も拡充する。

 毎年1・5%の事業収入拡大を目指す海外は、提携先との連携で試験・検査を行っているベトナム試験室の独立(子会社化など)を検討中。インドベンガルール試験室とバングラデシュ試験室は軌道に乗せるとし、中国も維持・拡大を図る。日本国内は黒字の継続を目標とする。

 前中計については、目標に掲げていた単体の黒字化を21、22年度に達成し、事業収入も計画に到達した。そのほか、東京事業所川口本所のバイオラボ開設やインドベンガルール試験室開設、機能性試験の充実、ウエアラブル試験の確立など、「やるべきことはやれた」(寺坂理事長)とした。