特集 「PTJ24春夏」(1)/24、25日に東京国際フォーラムで/付加価値で期待に応える

2023年05月17日 (水曜日)

 ビジネス商談会「プレミアム・テキスタイル・ジャパン(PTJ)24春夏」が24、25の両日、東京都千代田区の東京国際フォーラムで開催される。新規の7社を含む74社が出展し、買い付け担当者らの要望に応える付加価値の高い生地を並べる。今回から学生の入場(初日のみ)も受け入れるなど、従来とは違う新たな試みも見られる。

 日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が主催するPTJは今回で24回目を迎える。商品・生地を目の前にしながらの商談が重要と捉える買い付け担当者は多く、同商談会への期待度は高い。政府による新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けも変更され、来場者数も増えると予想される。

 今回の出展エントリーは74社で、97・5小間を数える。出展数と小間数ともに前年(71社・92・5小間)を上回った。ゾーン別では「織物短繊維」は35社・43小間、「織物長繊維」は18社・29小間、「染色・後加工、プリント、刺しゅう・レース、皮革」は19社・23小間、「服飾資材、ニットファブリック、撚糸、パイルファブリック」は2社で2・5小間。

 74社のうち、新規出展は7社で、植山テキスタイル、コヤマインターナショナル、高島晒、東京吉岡、フロリア、ユニゾン、KOHINOORMILLS(パキスタン)が名を連ねる。オカモト商店、ササキセルム、ジャパンブルー、髙島商事の4社が復活出展する。

 関連プログラムでは、24春夏シーズン「トレンド&インデックス」コーナー、JFWサステナブル・プロジェクト展示コーナー、JFWテキスタイル・オンラインサロン(JTO)・PRスタンドなどが用意されているが、新しい企画として立ち上がったのが「What,s Next」コーナーだ。

〈次の売れ筋生地を発掘〉

 What,s Nextは、価値観やニーズが多様化するファッションマーケットで、「次の売れ筋となるテキスタイル」の魅力を啓発する企画展。出展者の“次”(What,s Next)の素材を展示し、来場者がトレンド性や感性、技術、意匠、風合いなどを自由な観点で判断し、好きな生地に投票する。

 量産を前提とし、JFWOのテキスタイル専門家やアパレルの素材担当者による予備審査を通過した30点の生地が展示される予定。自ら手を上げた28社が出品する。会期後に人気投票の集計を行い、上位3社(生地)の詳細情報はJFWO公式サイトで掲載するほか、新聞などのマスメディアを通じて発信する。

 新たな試みでは、学生の入場を解禁する。PTJは初回開催から来場者を買い付け担当者に限ったビジネス商談会としてきたが、学生も繊維業界の将来を担う重要な人材と位置付け、開放を決めた。試験的な措置として初日のみ解禁し、出展者の声を聞きながら24秋冬展での継続実施の検討を行う。

 コロナについては、マスク着用の考え方など政府の対策が見直された。PTJでは3密を避けるとともに、来場者には小まめな手洗いや手指消毒などを求めるが、入場制限や出展ブースのアテンダントの人数制限は解除し、マスクの着用も個人の判断に任せる。

〈JFWO 事務局長 古茂田 博 氏/世界標準の展示商談会へ〉

 「PTJ」は、繊維・ファッション業界では欠かせない商談会の一つに数えられる。出展者と来場者の双方からビジネス拡大の期待が寄せられているが、JFWOの古茂田博事務局長は「従来と同じではいけない。新しいことを積極的に取り入れないと発展はない」と強調する。今回の見どころなどを聞いた。

――コロナ禍が落ち着きを見せる中での開催です。

 政府による感染症法上の位置付けが変更され、マスク着用も3月から個人の判断となりました。訪日外国人の姿が目立ち、空港や交通機関は混雑していますが、日本人の間でも公私を問わず外へ出て行こうという機運が高まっているように思います。出展者も来場者も好機が到来していると感じているのではないでしょうか。

――今回の見どころは。

 新企画の「What,s Next」コーナーに注目してほしいです。出展者が“次”の売れ筋になると予想する生地を並べ、来場者が自由な角度から選択して投票する企画です。出展者は、どのような生地が人気を集めるのかを学ぶ機会となり、来場者も生地を見るだけでなく、実際に参加することができます。

 コーナーには28社の生地が並びます。1社1点の出展が原則ですので、本来は28点なのですが、予備審査の段階でどうしても「外せない」と感じた生地があり、30点となりました。参加企業は全出展者の半数にも達しませんが、まだトライアルです。さまざまな反応・意見を参考にして次につなげます。

――学生の入場を解禁しました。

 グローバルスタンダードの展示商談会でなければならないとの考えからです。フランスの「プルミエール・ヴィジョン(PV)パリ」やイタリアの「ミラノ・ウニカ(MU)」は学生の入場を許しています。自国の繊維産業の将来を担う若い人材に最先端・最高品質の生地を見る機会を与えるのは当然のことだと思います。

 PVパリ、MUともに学生を受け入れたことで業界に良い影響を与えたと聞きます。学生の入場を解禁するのは初日だけですが、出展者から「学生ばかりだった」と言われても構わないと思っています。これからの日本の繊維産業を支える人をサポートすることはJFWOのミッションの一つでもありますので。

――来場者数の目標はありますか。

 特に立てていませんが、コロナ禍前に近い数字に戻ってくるのではないでしょうか。海外の買い付け担当者も多く訪れる魅力のある展示商談会に進化していきます。