東レ合繊クラスター/DX推進部会を新設/22年度出荷額は過去最高

2023年06月06日 (火曜日)

 東レ合繊クラスター(宮本徹会長〈丸井織物会長〉)の2022年度製品出荷額は、185億円で過去最高となった。今年度(23年度)は企業間連携を強め、サステイナブル素材や機能素材などの高付加価値品の開発を加速するとともに、デジタル技術で企業を変革するDXの推進に注力する。

 今年度からDX推進部会(部会長は丸井織物の宮本米藏副会長)を新たに設置した。産地企業それぞれの状況に合わせ、東レの協力も得ながら会員企業のDXを推進していく。まずは現場でのDXを重視し、データを活用して問題を可視化し、企業間連携による無駄の排除につなげていく。人手不足やコスト上昇などへの対応としてもDXを重視する。

 22年度の製品出荷額は過去最高だった。国内外のスポーツ、カジュアル、アウトドアなどの用途がけん引し、円安も追い風となった。特に吸汗速乾や透湿防水などの機能素材、カジュアル向けの快適素材、ストレッチ素材などが好調で、宮本会長は「強みである機能性、快適性の商品が受けている。日本しかできない商品が多く、そこがけん引した」と説明する。

 足元の市場環境には欧米経済の減速感などの懸念材料があるが、流通在庫の調整とともに回復していくとみており、「売れ筋は変わっていない。悲観せずしっかりと販売していく」(東レサポートメンバーの佐々木康次リーダー)と話す。

 東レ合繊クラスターの6月時点の参加企業数は85社(正会員70社、賛助会員15社)。来年は創立20周年を迎える。宮本会長は「創設時に掲げた理念である『垂直、水平に連携し、世界に類のない原糸/高次一貫の連携体制を構築する』という高い目標に向かい、厳しい環境を乗り越えていかなければならない。クラスター会員と自由闊達(かったつ)に意見交換を行い、やるべきことを着実に実行していきたい」とした。