再生に向かう商社繊維事業 22年度決算から(3)/業績回復のペースに差/東レインターナショナル/旭化成アドバンス/東洋紡せんい

2023年06月07日 (水曜日)

〈繊維関連が良好/東レインターナショナル〉

 東レインターナショナルの2023年3月期業績(単体)は、売上高6416億円(12・5%増)、営業利益125億円(3・9%増)、経常利益193億円(29・3%増)、純利益144億円(31・4%増)で増収増益だった。繊維関連事業が良好な動きを示した。

 衣料素材は売上高が25・5%増の805億円。インテリア分野が苦戦したが、衣料用ファイバーは堅調推移。繊維資材・物資は、自動車用途と皮革関連が堅調で、売上高は11・6%増の586億円。アパレルは、大手SPA向けとスポーツ・アウトドア分野向けとも堅調。売上高は1614億円で16・3%増だった。

 中期経営課題初年度の24年3月期は、売上高6490億円、営業利益125億円、経常利益195億円、純利益156億円を予想。糸・生地、アパレルを中心に成長を図る。

〈アウトドア関連が収益貢献/旭化成アドバンス〉

 旭化成アドバンスの23年3月期業績(単体)は、売上高597億円(前期比5・8%増)、営業利益17億9千万円(同1・9%増)で増収微増益だった。新型コロナウイルス感染症の鎮静化で、繊維事業などで需要が回復した。

 繊維事業では、特にアウトドア関連の需要が国内外で復調し、収益に貢献した。一方で、建材事業は公共事業需要減で苦戦した。為替変動やエネルギー価格上昇による素材コストアップへの対応については、各事業領域で価格転嫁に努めた。

 今年度(24年3月期)は、サステイナブル(環境・省人化)、メディカル・ヘルスケア(健康・安全)、車両関連などの重点領域の強化を図る。繊維事業は、サステイナブル素材の統合・冠ブランド「エコセンサー」のブランド戦略を進める。

〈企業統合効果で赤字縮小/東洋紡せんい〉

 東洋紡せんいの23年3月期単体決算は売上高273億円(前期比2・7%減)、営業損失4億2200万円(前期は6億6900万円の損失)、経常損失3億5300万円となった(前期実績は東洋紡STCの繊維部門と東洋紡ユニプロダクツの売上高、営業利益の合計)。

 不採算事業撤退や企業統合による資産効率向上で赤字を縮小した。

 分野別では、スポーツは海外生産比率が高いため円安によるコストアップの影響で減益だった。マテリアルは売り上げ堅調も原料高で減益。ユニフォームは企業別注や白衣が堅調もワーキングが低迷し、円安の影響もあって減益だった。スクールはニット素材の販売が拡大し増収増益だった。輸出織物は中東・欧米向けともに好調で、円安効果もあって増収増益だった。

 今期は売上高300億円、営業利益3億円、経常利益3億円を見込む。