長谷虎紡績/「光電子」中心に高機能発信/ミラノ・ウニカ初出展

2023年06月08日 (木曜日)

 長谷虎紡績(岐阜県羽島市)は、グループ会社のファーベスト(東京都中央区)と共同で、7月11~13日にイタリアで開かれる国際生地見本市「ミラノ・ウニカ」(MU)に出展する。海外展への参加は初めて。遠赤外線の放射を利用して体を温める高純度微粒子セラミックス練り込みポリエステル機能繊維「光電子」を中心に“機能”をテーマに発信する。生地だけでなく、湯峰ソーイング(岐阜県飛騨市)の協力を得て縫製品も展示し、製品供給まで含めた対応もアピールする。

 MUへの出展の狙いとして、長谷享治社長は「グローバル展開が今後必要不可欠になってくる」と話す。スポーツやアウトドア、ファッションの境目がなくなりつつあり、「日本とグローバルの境目もいい意味でなくなってきた」と指摘。「自分たちの立ち位置を知る」ためにも、得意とする機能素材を軸に発信し、欧州での反応を探る。

 新型コロナウイルス禍で「開発を強化し、種まきしていたものが育ってきた」(紡績部門の河野貴俊テキスタイル・アパレル部次長)として、光電子を中心に独自性の高い素材を展示する。中わた材「光電子リンサレーション」は保温性の向上とともに、リサイクル原料使用率が90%以上で、サーキュラーエコノミー(循環経済)も訴える。

 西脇や尾州、北陸、三備など各産地で生産した生地を100点ほど展示する予定。光電子と人工タンパク質繊維「ブリュード・プロテイン」のデニムや、無撚糸をコットンでカバーリングしたラッピング糸使いの裏毛生地など「日本独特の素材によって目新しさを出す」ことで来場者の関心を高める。

 さらにダウンジャケットなどの製品サンプルも10点ほど展示。日本製の差別化生地を使い、湯峰ソーイングのベトナム拠点を活用することで、原料から最終製品までのトータルコーディネートができる点も訴える

 輸出は光電子で東南アジア向けに一部あるのみで「ほぼゼロに近い」。長谷社長は「欧州ではテキスタイルの完成度が高く、学ぶ上でも良い経験になる」と話し、3~5年は継続して出展する考えを示す。

〈FC岐阜に協賛、製品回収へ〉

 長谷虎紡績は、サッカーJ3リーグ「FC岐阜」に協賛し、羽毛製品の回収に取り組む。18日の岐阜メモリアルセンター長良川競技場(岐阜市)で開かれる試合で回収ボックスを設置し、「当社を知ってもらう機会にする」(長谷社長)。

 今後は通常のアパレル製品の回収にも乗り出し、サポーターのグッズや、選手のトレーニングウエアなどへのリサイクルを検討。長谷社長は「自分たちの使ったものが循環されることで、チームへの愛着にもつなげていきたい」と話す。