特集 環境(5)/新価値の創造へ/島田商事/ユニチカ/ダイワボウレーヨン

2023年06月27日 (火曜日)

〈SDGsの色に注目/自動的に3%寄付/島田商事〉

 副資材商社の島田商事(大阪市中央区)は、SDGs(持続可能な開発目標)の17の目標それぞれで提示されているテーマカラーに着目した資材販売プロジェクト(PJ)を立ち上げた。「T.S.P.L.」(ティーエスピーエル)がそれだ。同PJの資材売り上げの3%が自動的に、環境支援団体に寄付される仕組みになっており、顧客からは「他にあまり見ない面白い取り組み」との評価を得ている。

 プロジェクト名には、「アパレル副資材(Trim)を通して、持続可能な社会(Sustainable)に貢献するProjectとしてそろえた資材のLineupです。」という意味を込めた。「多彩な色を持つ副資材だからこそ表現できることがあるのではないか」と考え、SDGsのアイコンカラー17色の副資材をラインアップした。

 アイテムは、ゴムスピンドル、アクリルコード、ニットテープ、バインダーテープ、タフタ、ボタン、ファスナー、面ファスナーといった定番品で、リサイクル素材やバイオマス関連などは現時点でラインアップしていない。「コストの問題などで取り入れることをちゅうちょしているアパレルが多い」ことに配慮した。従来品と価格は変えていない。

 同PJにラインアップされた副資材を購入すると、その3%が自動的に支援団体に寄付される。団体は、ウォーターエイドジャパン、日本自然保護協会(NACS―J)、ブリッジエーシアジャパン(BAJ)、Protect Our Winters(POWジャパン)など。寄付のタイミングは年に一回。

 同社によるとPJへの反響は大きく、ユニフォーム関連などで採用が進んでいると言う。

〈“サステ×機能”が基本/レーヨンで環境負荷低減/ダイワボウレーヨン〉

 ダイワボウレーヨンは、天然木材パルプ由来であり生分解性も持つといったレーヨンの特性を生かし、サステイナブル素材としてのレーヨンを打ち出す。機能性を融合させる“サステイナビリティー×機能”を基本戦略にすることでレーヨンの用途拡大と環境負荷低減への貢献を目指す。

 多彩なレーヨン短繊維を製造販売している同社だが、昨年には排出権取引によるカーボンオフセットを組み入れたカーボンニュートラルレーヨンを発表し、現在は順調な販売が続く。使用済み綿製品を原料とするリサイクルレーヨン「リコビス」も5月にリサイクル原料が適正に使用されていることを証明する国際認証「リサイクル・クレーム・スタンダード」(RCS)を取得した。

 そのほかにも第三者認証を取得している海水中生分解性レーヨン「エコロナ」や、合繊との混紡でも一浴での染色が可能になることで染色工程での水やエネルギーの使用量を削減できるカチオン可染レーヨンなども注目される。

 一方、環境配慮型レーヨンの普及のために、サプライチェーンの中で実際に同社のレーヨンが適正に使われているかを確認したいとの要望も需要家の間で高まった。

 こうしたニーズに対応するため、原料に化学的なマーキングを施すことで同社のレーヨンかどうかを鑑別できるトレーサブルレーヨンを今期から本格的に販売開始した。同社では今後、販売するレーヨン短繊維を全てトレーサブルレーヨンに切り替えることも検討している。

 レーヨンは天然由来の再生セルロース繊維であり、環境に優しい繊維とされる。独自の練り込み技術などでレーヨンにさまざまな機能を付与し、用途開拓に取り組む。

〈サステ関連売上高2.6倍/CO2排出量削減でGXリーグ参加/ユニチカ〉

 ユニチカは、2020年にサステナビリティ推進室を立ち上げ、同社の「サステナビリティ方針」の達成に向けた取り組み強化と指標(KPI)に基づく評価を行っている。今年10月には22年度(23年3月期)実績のレビューを統合報告書の中で発表する予定だ。

 サステナビリティ方針では事業に関する優先課題として「安全で安心な暮らし」「便利で快適な暮らし」「環境と共生する暮らし」それぞれの実現を掲げる。そのためにマテリアルリサイクルポリエステル繊維、ポリ乳酸(PLA)樹脂・繊維「テラマック」、バイオマス由来原料ナイロン11繊維「キャストロン」、ケミカルリサイクルナイロン・ポリエステルフィルムなど環境配慮型素材の拡販を進める。これらの素材を利用した商品の売上高を19年度比2・6倍にまで高める計画だ。

 一方、企業活動に関する優先課題として「環境と共生する企業活動の推進」「人権の尊重」「働きがいのある会社づくり」「ダイバーシティの推進」「サプライチェーンマネジメントの強化」を掲げる。

 環境と共生に関してはCO2排出量削減を重視。同社は04年に工場でコージェネレーションシステムを導入しているが、設備の更新などで最適化を進めるほか、宇治事業所(京都府宇治市)に残るディーゼルボイラーも液化天然ガスボイラーに転換する方針だ。再生可能エネルギーの導入も検討している。4月には経済産業省などが立ち上げを進めているカーボンニュートラルに向けた協働の場「GXリーグ」への正式参加を表明した。

 目標達成に向けて「社内の意識改革が必要」(西村弘サステナビリティ推進室長)。国内のグループ従業員を対象としたeラーニングも昨年12月からスタートするなどグループを挙げて取り組みが加速する。