帝人/炭素繊維で国際認証取得/PANと合わせて世界初

2023年07月03日 (月曜日)

 帝人は、三島事業所(静岡県長泉町)で生産する炭素繊維「テナックス」と材料であるポリアクリロニトリル(PAN)が、持続可能な製品の国際認証の一つ「ISCC PLUS認証」(国際持続可能性カーボン認証)を取得したと発表した。同社によると、炭素繊維とPANを合わせて同認証を取得するのは世界で初めて。

 炭素繊維は幅広い用途で使われるが、製造工程での環境負荷が課題とされる。同社は、製造拠点における自家発電設備の燃料を天然ガスに切り替えたほか、ライフサイクル全体でのライフサイクルアセスメント(LCA)を評価した上で関連情報の開示を行っている。

 三島事業所で製造するPANとテナックスは、バイオマス由来製品の廃棄物や残留物を用いたアクリロニトリル(AN)または循環型原料を用いたANを使用し、同認証に基づいたマスバランス方式で生産している。原料のANは石油由来と同等の物性のため、PANやテナックスも石油由来と同等の物性を持つ。

 今回の認証取得を受け、2024年前半までに石油由来の原料を用いた従来品に加え、マスバランス方式でのPANとテナックスの生産・販売開始を目指し、準備を進める。欧米とアジアで生産している炭素繊維、その関連製品についてもISCC PLUS認証の検討を進める。

 ISCC PLUS認証は、マスバランス方式によるバイオマスや再生材料などに由来する製品について、グローバルなサプライチェーン上で信頼性を管理・担保する国際認証の一つ。