絹織物の田勇機業/縮緬用途開拓に力/内外展示会を活用
2023年07月05日 (水曜日)
絹織物メーカーの田勇機業(京都府京丹後市)は主力の和装向け縮緬(ちりめん)の新たな用途開拓に力を入れる。洋服やインテリア分野での需要を国内外の展示会を活用して模索する。
縮緬とは経糸には通常撚りの入らない絹糸を、緯糸に回転方向の異なる強撚糸を交互に織り込んだ絹織物で、生地の表面に凹凸(シボ)があるのが特徴。丹後産地は絹製の縮緬では国産シェアの8割近くを占める。高級呉服、風呂敷、帯に使われる。
同社は用途を和装以外に広げるために、広幅織機3台を既に導入済みで、今後は、洋装・インテリア分野などへの展開を目指す。同社での広幅機は生地の幅で1メートル~1メートル30センチ程度を織れる織機を指す。洋装・インテリア向けの生地は、広幅でないと需要が増えないため。
広幅織機の増設と同時に、国内外の展示会に出展し、アパレル、インテリア、雑貨など幅広い業種、分野に縮緬の良さをアピールする。
これまで国内では繊維総合見本市「JFW―ジャパン・クリエーション」に出展している。海外では2023年2月にイタリアで開かれた服地見本市「ミラノ・ウニカ」に出展。18、19年にはフランス・パリのインテリア・ギフト製品見本市「メゾン・エ・オブジェ」にも出展した。今後も販路や用途開拓が見込める展示会を見定めて参加する。
田茂井勇人社長は「丹後産地は、和装を中心に、アパレル、インテリア、雑貨、産業資材までいろいろな織物が織れる『織物の総合産地』ということを多くの人に伝えたい」と話す。
同社は1931年の創業の織物工場で、主要織機は織幅45センチ以内の織機60台(そのうち50台はジャカード機)で、売り上げの約9割が和装用白生地縮緬。生地を備蓄せず、和装関連の生地問屋などから発注があるごとに生産する受注生産型の機業。
20年以降、感染症の影響で生産量が大きく減ったが、現在やや持ち直しつつある。ただ、長期的な国産の和装産地の需要減は続くとみられ、業容拡大には新たな用途と売り先の開拓が不可欠な状況にある。




