東レ スポーツ・衣料資材事業部/再生ナイロン提案強化/将来は「衣服to衣服」も
2023年07月06日 (木曜日)
東レのスポーツ・衣料資材事業部は、ケミカルリサイクルナイロンの提案を強化する。漁網の活用でスタートしており、2025年ごろにはケミカルリサイクル糸を使った生地の販売を現状の3倍に増やす方針だ。将来は「衣服to衣服」の回収・リサイクルスキームの構築も目指す。
同社は22年、名古屋事業場に、リファインバースグループの漁網由来再生樹脂の原料投入設備や再生ラクタムの貯留槽などを導入。石油由来のバージン原料と識別する生産体制を整えた。ナイロン6繊維製品の再資源化に活用でき、環境配慮型素材・製品へのニーズが高まっているスポーツ・アウトドア分野などに積極投入する。
同社のリサイクル技術では、バージン原料とほぼ同品質の繊維を作ることができ、高機能・高品位な商品の提案が可能。スポーツ・衣料資材事業部は、ケミカルリサイクルナイロンをはじめとするサステイナブル素材と革新複合紡糸技術「ナノデザイン」を組み合わせて新しい価値を作る。
例えば、遮熱や防透け性を持つ「ボディシェルEX」は3層構造の糸を使用しているが、芯部と薄外層にリサイクルポリエステルを使用している。これによってリサイクル率を高めることに成功した。2層目の超フルダル糸が防透け性などを発揮し、ゴルフパンツ用途などで人気という。
ナイロン6ケミカルリサイクルについては、「衣服to衣服」を目指す。大塚潤スポーツ・衣料資材事業部長は「実現に向けて一歩を踏み出したが、回収システムの構築や素材の分別など課題は多い。モノマテリアル化の推進を含め、アパレル企業や小売企業との連携が必要」と話す。
スポーツ市場は、感染症による打撃からの回復が速かったため、現在は落ち着き感もあるが、健康志向の定着でスポーツの人気は依然高く、市場環境は悪くないと捉える。サステイナブルと高機能・高品位の組み合わせで拡販を図り、24年3月期は前期比増収増益を計画する。
〈7日までスポーツ展〉
東レのスポーツ・衣料資材事業部は、「24秋冬―25春夏 東レ スポーツ素材展」を7日まで東京本社(東京都中央区)で開催している。回収型ケミカルリサイクルナイロンをはじめとする環境への取り組み、革新複合紡糸技術「ナノデザイン」などを紹介している。
素材では、ストレッチ性に優れる「プライムフレックス」シリーズ、遮熱・UVカット・防透けといった機能を併せ持つ「ボディシェルEX」、吸水速乾の「フィールドセンサー」シリーズ、防水透湿素材「ダーミザクス」などを展示。田型構造の中空ナイロン「パシャノヴァ」など、非衣料向けの素材も並べている。