シキボウ/広がるアップサイクル「彩生」/音楽イベント、ユニフォームで
2023年07月14日 (金曜日)
シキボウは、グループの新内外綿と取り組む繊維廃材のアップサイクルシステム「彩生」を広げている。音楽イベントでTシャツを回収し、翌年のイベントに使用するTシャツへアップサイクルするプロジェクトを支援するなど、少しずつ市場に浸透してきた。ユニフォームメーカーがSDGs(持続可能な開発目標)に関連する提案の一環として、彩生を発信する動きも活発になっている。
新内外綿が、取引先で不要となった生地や繊維製品を再び糸にして提供する取り組みを2020年から本格化。これを彩生と名付け、ブランド化してきた。最近はSDGsの関連で環境配慮やアップサイクルへの関心が高まる中、彩生も注目されつつある。
音楽イベントでは8月19、20日に国営讃岐まんのう公園(香川県まんのう町)で開かれる中四国最大級の野外ロックフェス「モンスターバッシュ」や、9月16、17日に大阪城ホール(大阪市中央区)で開かれる「ロックロックこんにちは!」でTシャツを回収。カット・反毛を経て、わたに戻した後、バージン綿と混ぜ合わせて紡績し、Tシャツへと再生する。
最近ではアパレルショップなどが店頭に回収ボックスを設置し、一般消費者から不要になった衣類を集める取り組みが増えている。しかし、回収ボックスに入れればそれで終わりというケースが多く、「イベントを通じて翌年着用されるTシャツに再生されることを知れば、アップサイクルへの関心も高まる」。今後もイベントでの活用を狙い、業界だけでなく一般消費者への認知度も高める。
ユニフォームメーカーの23秋冬向け新商品展示会でも彩生を発信する動きが増えている。アイトス(大阪市中央区)では、彩生によってラオスの縫製工場で出たオックスシャツの裁断くずを、ベトナムでアップサイクルしたTシャツを着用して来場者に応対。彩生を活用したTシャツを発注する場合、最低20㌔から対応し、最短2カ月で供給できる。
アイトスではリサイクルしたものが“見える化”できる仕組みの一つとして彩生の活用が増えることを期待。3千枚、千枚、500枚注文した場合の参考小売価格を明記するなど、独自商品を訴求したいユニフォーム販売代理店にとって、魅力的なアプローチとなる。
桑和(岡山県倉敷市)も23秋冬新商品展示会の中で、彩生によってユニフォームからタオルなど製品にアップサイクルできることを訴求した。