ミラノ・ウニカ24秋冬/テキスタイルのメタバース活用/没入型の見本市体験を

2023年07月14日 (金曜日)

 【ミラノ=Imago Mundi代表・両角みのり】今回の「ミラノ・ウニカ」(MU)は、展示スペースが一新された。来場者に没入型の見本市体験をすることを目的とした、初のメタバースをテーマにしたプロジェクトを紹介し、話題を呼んだ。

 「最も重要なのはショッピング体験です。私たちによく似たアバターを通じて、バーチャルに店に行き、あらゆる選択肢の中から服を選び、最も多様な利用シーンに対応できるようになることです。一度選んだ服は実際のお店での体験へと続いていく。衣類や生地を触ったり試着はオンラインではできないからです。したがって二つの世界は共食いすることなく、相互浸透する運命になるでしょう」とMUのアレッサンドロ・バル代表は語る。

 トレンドコーナーは「MUコミュニティー」として紹介された。あらゆる行動やプロジェクトの出発点として、人間と人間を取り巻く環境の中心性という人間主義的な概念を再確認するための「ファミリー」「カルチャー」「ナイト」の三つからなるコミュニティーが今回の大きなコンセプトとなっている。

 例えば「ファミリーコミュニティー」では、素材は柔らかく包み込むように、触感のある素材と起毛糸など。デザインは古典的、ジャカードはビンテージの要素を含み、色はブラウン調からパステルまで秋の色合いがそろう。

 「カルチャーコミュニティー」は、テーラリングとオートクチュール。構造的でボリュームのある生地、環境に配慮した加工を施したデニム、浮き糸やわずかに発光する糸を使ったカットジャカードなど。色は白、クリーム、カーマインなど。

 「ナイトコミュニティー」は、男女の区別がない流動的なジェンダーレスが特徴。ダブルフェースのカシミア、加工されたレザーや起毛レザーなど。テクニカルファブリックはコーティングまたはワックス加工など光沢のある処理が成されている。色はトーン・オン・トーンのグレースケールがメイン。

 より生地の質感が感じられる展示スタイルが各所で見られ、「クリエーティブ サステイナビリティー エリア」のウイメンズウエアの提案に特化したスペースでは、現代的スタイルに加え、女性らしいエレガンズへの欲求を表現した。