LIVING-BIZ vol.96(13)/カネヨウ/23年度スミノエ会理事会/テクセット
2023年07月18日 (火曜日)
〈カネヨウ/ブルガリア羽毛で差別化/3社協力体制の強みも〉
寝装・インテリア商社のカネヨウ(大阪市中央区)が、ブルガリア産「トラキアホワイトダウン」の訴求力を高めている。
6月20日、駐日ブルガリア共和国大使公邸で説明会を主催。羽毛原料を調達・精製加工するソラマックス社(ブルガリア)、品質管理・トレーサビリティー管理・輸出を担うローデックス社(ドイツ)と共に、同ダウンの品質や加工方法、トレーサビリティーの現状などについて寝具メーカーや問屋に解説した。
西野幸信社長は「トラキアホワイトダウンの日本市場投入から約10年。改めてその良さを知ってもらい、人々に良質な眠りを届けたい」と話した。
同ダウンは、ブルガリアの三大羽毛産地の一つであるトラキア地方で生産される希少価値の高い羽毛。同地方の肥沃な大地と極寒の冬、約100日間という長く良好な飼育環境により大きく成熟し、かさ高性に富む。
環境に配慮した独自の加工方法も特徴。天然水による伝統的な洗浄技術を発展させた「トリアロ」という1次洗浄と1次選別を組み合わせた加工方法を経て、特殊洗浄機にかけることで、損傷ダウンの発生を抑え、水・電力の使用量は通常の4分の1、洗剤の使用量は3分の1で済むという。こうした羽毛原料による差別化をサポートすると同時に、鳥インフルエンザなどの危機も乗り越えた3社協力によるサプライチェーン体制の強みも生かし、拡販につなげる。
マリエタ・アラバジエヴァ大使がカネヨウへ推薦文を授与。大使は「両国間のビジネス強化に期待したい」と話した。
〈23年度スミノエ会理事会/「希望をもって前進を」〉
住江織物グループは6月下旬、グループ特約店などで構成するスミノエ会(髙野寅吉会長)の2023年度理事会を横浜市内で開き、22年度の事業・会計報告、23年度の事業計画・会計予算案を全会一致で承認した。
髙野会長は「原材料高や人手不足、環境問題などインテリア業界の課題は多いが、140周年を機にロゴや理念を一新した住江織物グループに期待している。安心・安全が求められる中、スミノエ会としては『エコス』など環境に良いモノの提案に努めたい」などとあいさつした。
エコスは水平循環型リサイクルタイルカーペット。今春発売した新シリーズを含め受注は堅調で、グループの売り上げをけん引している。
住江織物の永田鉄平社長は、訪日外国人観光客の回復基調、日経平均株価3万3千円台の更新、オフィス空室率5%台などの事例を挙げながら、「消去法的だが、世界では『日本経済はまだまし』と思われているようだ。人も投資も日本に入ってきている。今後内装材の需要も出てくるだろう。希望をもって前進したい」と話した。
スミノエの村瀬典久社長は「約3年に及ぶ新型コロナウイルス禍との闘いも節目を迎え、経済が大きく動き始めた。社長に就任してから厳しい業績が続いたが、今期は必ず花を咲かせたい」と決意表明。環境関連でさまざまな賞を受賞するエコスシリーズ、7月発売予定のオーダーカーテン新シリーズなどを含め、大型再開発物件の獲得や富裕層の取り込みなどに力を入れる考えを示した。
理事会後、日本大学危機管理学部の先﨑彰容教授による経営セミナー「令和日本のデザイン~世界情勢と日本企業の役割」を開催。参加者は熱心に耳を傾けた。
〈家具関連35社/リサイクル協議会設立/廃マットの実証実験開始〉
家具に関わる製造業や小売業、物流企業など有志企業35社による任意団体「家具インテリア リサイクル&リニュー協議会」が発足した。家具インテリア業界の環境経営促進に取り組む。フランスベッドやドリームベッドも参画している。
岡田贊三会長(飛騨産業会長)は、「当協議会の特徴は生産・物流・販売の“動脈産業”から、メンテナンス・廃棄・再生の“静脈産業”に至るサプライチェーン全体の垂直連携。これにより環境負荷を減らし、持続可能な社会の実現を目指す」と話した。
不要家具の引き取り・再利用・再資源化などの「資源循環」、森林の「生態系保存」、政府が掲げる2050年のカーボンニュートラル実現に向けた「温室効果ガス削減」をミッションに、四つのワーキンググループを立ち上げ活動する。
第1弾として、6月から関東圏で「廃スプリングマットレスのリサイクルネットワーク実証実験」を開始(8月末まで)。解体が困難で適正処理困難物に指定されるスプリングマットレスの効率的な回収、資源循環を促し、リソーシング(資源蓄積)の共通基盤構築を目指す。
客が購入したベッドの納品時に引き取った古いベッドが対象で、家具小売業やベッドメーカーなどが排出事業者として参画。フランスベッドは「自社で取得した広域認定を軌道に乗せるため注力しているところ」とし、参加を見送った。
産業廃棄物の収集・処理業者が古いベッドを回収し、スプリング、ウレタン、付属品などに解体・分別。鉄や木材のマテリアルリサイクル、RPF(固形燃料)のサーマルリサイクルにつなげる。3カ月間で3千枚回収する計画で、開始後半月で約500枚集まった。回収から処理までのデジタルプラットフォーム試作版を運用し、デジタル技術で社会を変革するDXによる課題解決も推進。個社ではなく、業界の共同事業として進めることで、行政や地球環境の負荷を軽減する事業を構築する。
〈テクセット/オンラインショップ刷新/約200の商品展開〉
帝人フロンティアグループで、リビング・インテリア商品を企画・販売するテクセットは、公式オンラインショップをリニューアルした。ショップ名を「テイジンモール」に変更し、抗菌防臭や防ダニ性能を持つ寝装・寝具、遮熱機能よる省エネ効果のあるカーテンなど、約200の衣・食・住関連商品を扱う。
2004年から暮らしを快適にする商品をそろえたテイジン公式オンラインショップ「くらし@サイエンス」を運営してきた。開設から約20年が経過し、テイジンブランドをより広く訴求するため刷新した。「Enrich your daily life/毎日を豊かにする」をテーマに設定した。
高機能素材を使った寝装・寝具やカーテンのほか、ライセンス契約する海外デザインのインテリア商品、軽失禁下着、着圧ソックス、スーパー大麦などをそろえる。商品検索がしやすいように、リビング、ベッドルーム、キッチン、バスルームなど、使用シーン別に提案するほか、季節やイベントなどのトピックスも掲載する。
今後は、消費者が意見を投稿できる「ご意見ボックス」を設置し、寄せられた意見を商品開発に生かす企画も進める。衣・食・住における人々のQOL向上に貢献するオンラインショップを目指す。