帝人と熊谷組/耐火性集成材開発へ/中大規模の木造建築普及を
2023年07月19日 (水曜日)
帝人と熊谷組は、耐火建築物に利用可能な高機能繊維強化集成材の開発に着手した。帝人の高機能繊維強化集成材と熊谷組の木質耐火部材の技術を融合して新たな集成材を提案し、中大規模木造建築物の普及を促す。基本技術は確立しており、今後は耐火性能の確認や大臣認定取得に向けた取り組みを進める。
環境配慮や国産材活用などの観点から、戸建て住宅以外の住宅や非住宅でも木造の選択が増えている。こうした流れを受け、木造建築物を構成する部材には高い性能が要求される。また、一定規模以上の建築物は耐火建築物である必要があり、耐火性能を持つ木質部材の使用が求められる。
帝人は、集成材を炭素繊維で補強して剛性や強度を高めた「ライブリーウッド」を展開するが、同集成材は耐火性能を持たない。一方の熊谷組は、木材を耐火被膜材で覆った木質耐火部材「環境配慮型ラムダウッドツー」を販売。ただ、一般的な木材を使用しているため、中大規模の建築物には部材性能が不足する場合があった。
今回の取り組みでは、ライブリーウッドと環境配慮型ラムダウッドツーを掛け合わせることで互いの得手不得手を補う。これによって耐火建築物にも利用可能な新しい集成材を生み出す。建材試験センターで梁の耐火試験を行い、2時間耐火が必要な建築物に適用するための基準を満たす性能を持つことを確認した。
実用化などのスケジュールは未定ながら、検討を重ね実物件採用と多様な木造建築物の実現を目指す。