クラレ クラリーノ事業/商品力で差別化/環境配慮タイプ重点提案
2023年07月21日 (金曜日)
クラレのクラリーノ事業部は、人工皮革「クラリーノ」が得意とするスポーツシューズ用途の市況が踊り場となっていることから、環境配慮タイプの提案を改めて強化し、商品力で差別化することで需要の掘り起こしを進める。特に欧州のラグジュアリー市場への提案に力を入れる。
クラリーノはスポーツシューズのアッパー向けが拡大しており、2022年度(12月期)も好調な販売が続いた。ただ、ここに来て市況はやや踊り場となっている。熊野敦クラリーノ事業部長は「スポーツ用途は新型コロナウイルス禍からの需要急回復や物流停滞への懸念からスポーツブランドが積極的な生産を続けてきた反動が出ている」と言う。世界的なインフレ高進で消費が失速し、流通在庫が増加したことも影響している。
今後に関して熊野事業部長は「下半期(7~12月)には市況も回復に向かうだろう。遅くとも24年には本格回復を見込む」と話す。このため下半期は市況回復に向けて引き続き需要の高まっている環境配慮タイプの提案を強化する。「中国など海外の人工皮革メーカーとの競争も激化している。商品力で差別化するしかない」と強調する。
得意とするスポーツシューズ用途に向けてバイオ原料ポリエステルや再生ポリエステルなど環境配慮型原料を使ったタイプの提案するほか、製造工程で有機溶剤を使用しない独自の新製法「クラリーノ・アドバンスド・テクノロジー・システムズ」(CATS)で製造するタイプも重点提案する。特に化学物質規制が強化されている欧州の取引先に積極提案する。
人工皮革の採用が拡大している自動車内装材用途も重視。スエードタイプの人気が高いが、クラリーノが得意とする銀付きタイプにも確実に需要が存在することから、それら需要の掘り起こしでシェア拡大に取り組む。