クローズアップ/東レアルファート社長 西村 成伸 氏/企画提案型ビジネス強化

2023年07月31日 (月曜日)

 東レグループの繊維商社、東レアルファートは素材や製品企画だけでなくサプライチェーンの最適化などを含めた提案型ビジネスの拡大に取り組む。6月に就任した西村成伸社長に今後の戦略を聞いた。

  ――東レアルファートの現状は。

 当社の売上高比率は商品形態別では製品46%、生地46%、資材向けを中心とした原糸・原綿が8%です。事業別に中身を見ると、安全防護服やレインウエア向け糸・生地・製品の機能資材事業、製品が約70%を占める婦人衣料事業、やはり製品が約70%を占めるユニフォーム事業、生地販売が中心のスクール事業、そして和装事業があります。非常に多様な用途でビジネスを展開しており、ニッチな分野で強みを発揮していると言えます。東レの繊維事業の製品オペレーションの中心として顧客に近いポジションに位置することが強みです。

  ――今後の重点戦略は。

 企画提案型のODMビジネスの強化です。従来型のOEMビジネスだけでは十分な利益を確保することが難しくなる中、モノ作り商社としての姿勢を強めます。東レグループには中国や東南アジアに原糸・原綿から生地、製品のサプライチェーンがあり、中国やベトナム、ラオス、バングラデシュでの縫製も強化されています。こうしたインフラを活用し、単に素材や製品企画の提案だけでなく、最適なサプライチェーンの組み合わせを提案することなども含めたODMに取り組みます。これによりリードタイムの短縮などにも貢献できるはず。顧客の満足度を高めることが目的です。

  ――特に力を入れる分野は。

 スクール事業を伸ばしたい。生地販売が中心ですからアパレルとの取り組みを重視します。近年、公立中学校の標準服が従来の詰襟学生服・セーラー服からブレザーへの変更が増加しています。このため生地も別注化が進み、ロットも小さくなるでしょう。こうした変化に対応した提案に取り組みます。

  ――一方で課題は。

 婦人衣料は現在、インナーウエアが主力ですが、もう一つ柱になる商品が欲しい。そのためにも新規開拓に力を入れます。和装は市場こそ縮小しましたが、当社には着物縫製子会社の東洋和装縫製(滋賀県米原市)がありますから、これを活用することで何かできるのではないかと考えています。国内でも着物の縫製ができる工場が希少ですから、今後も維持していきたい。

 当社には若くて意欲的な従業員が多いと感じています。彼ら、彼女らが活躍できる会社にしていきたいですね。背景には東レのテキスタイル事業がありますから、それを十分に活用することで、いろいろ挑戦できると思います。