ごえんぼう

2023年08月04日 (金曜日)

 買い物の帰り道、前を歩く子供たちが歓声を上げる。歩道に引かれた白線を踏み外さずに歩き切ったようだ▼白線の幅は15㌢ほど。白線に覆いかぶさるほど茂った植栽を飛び超えたり、自転車をやり過ごしたり、大胆かつ慎重。横断歩道も白線上をピョンピョンと渡っていた。懐かしく思い出す人も多いだろう▼同じ幅でも、断崖絶壁の獣道や一本橋だとそう簡単ではない。落ちる恐怖で足がすくみ、一歩も進めないかもしれない。そうした状態を、工学博士の田坂広志氏は「無意識の自己限定」と呼ぶ。高所というだけで「自分にはできない」と思い込み、本来の力を発揮できなくなる▼それは、日常のさまざまな場面でも同じ。「自分には不可能」と感じた途端、その能力は委縮し、可能性にも制限をかけてしまう。これに気付くには、普段の思考や感情に注意を向けることだそう。関心が外へ向かう今、内なる自身の探求も深めたい。