特集 スクールスポーツウエア(3)/スクールスポーツ事業 各社取り組み/採用校獲得、安定生産に注力

2023年08月18日 (金曜日)

〈自社ブランド軸に提案/カンコープレミアムけん引/菅公学生服〉

 菅公学生服は今春の入学商戦で、スクールスポーツで計画通りの売り上げを確保した。2023年7月期は増収を見込む。自社ブランドの「カンコープレミアム」の販売が堅調で、来入学商戦に向けても自社ブランドを軸とした提案に注力する。

 カンコープレミアムは大手素材メーカーと開発した生地「グランガード」を採用する。防風や、コンパクトに収納できる軽量性、毛羽立ちなどができにくい耐久性など機能面が評価されている。

 営業本部の勝山裕太企画推進部スポーツ企画推進課長は「提案時に簡易キットを用いて生地の性能を訴求している」と説明、この点が採用にも寄与している。体育着ではジャージー素材が多い中、グランガードはトリコット素材で、差別化にもつながっている。同ブランドは今春約100校の新規校を獲得し、累計採用校数は約500校となった。

 シンプルなデザインの「カンコーノームコア」では、「同ブランド以外の体育着とも合わせやすいシャツが単品で決まっている」と言う。ライセンスブランドでは、「カンコー×ファイテン」が、ファイテンの独自技術、アクアチタンの効果を高めた「アスリートモデル」や、視覚的にもリラックス効果を与える青色を基調としたウエアがスポーツ強豪校などで支持されている。

 来春に向け、引き続き自社ブランドの提案を強化する。「カンコー」ブランドでは、グランガードを採用したウエアなど、中学校向けの新商品を30型ほど拡充して提案を進めている。

 全国の中学校を中心に制服のモデルチェンジが加速する中、海外生産なども活用しながら安定生産につなげる。

〈「デサント」累計2230校/来春へ前倒しで生産対応/明石スクールユニフォームカンパニー〉

 明石スクールユニフォームカンパニーはスクールスポーツ分野で、ライセンスブランドの「デサント」や自社ブランドの「アスリッシュ」の販売が好調で、今春の入学商戦は計画通り推移した。

 営業による販路開拓が奏功した。新型コロナウイルス禍で休止が続いていた学校行事が復活してきたことも受注増につながった。コロナ禍で、洗濯が簡単な体育着での通学が拡大したことも要因の一つ。中村孝営業本部スクール営業部長兼第二営業課長は「制服での通学がなかなか戻らず、北海道や東北地方などでは体育着での通学がスタンダードになってきた」と指摘する。

 商品では、デサントの販売が引き続き好調だ。ブランド力に加え、高ストレッチ、軽量感、耐久性などの機能を持つ生地「デサントハイブリッド」など機能性が支持されている。今春、デサントでは約100校の新規採用を獲得し、累計採用校は2230校になった。

 同社オリジナルブランドの「アスリッシュ」はデザイン性のほか、速乾性や肉厚生地など「素材が評価されている」。今春は新たに30校に採用され、累計採用校数は100校となった。

 来入学商戦に向けても、「計画通りに進んでいる」。今春は、性的少数者(LGBTQ)へ配慮する流れから中学校を中心に学生服のブレザーへのモデルチェンジが加速し、業界内では生産が逼迫(ひっぱく)する状況となった。ただ、同社では「事前準備を進めてきたとともに、海外生産によるリカバリーもできたため、スムーズに納入できた」。来春も「モノ作り第一でやっていく」として、前倒しをしながら生産に当たる。