特集 スクールスポーツウエア(4)/スクールスポーツ事業 各社取り組み/採用校獲得、安定生産に注力

2023年08月18日 (金曜日)

〈「プーマ」で目標30校/周辺アイテムの開発強化/ユニチカメイト〉

 学校体操服製造卸のユニチカメイト(大阪市浪速区)は、2024年の入学商戦に向け、中高で根強い人気のあるブランド「プーマ」で約30校の採用を目標に掲げている。素材メーカーのグループ企業ならではの厳選した差別化素材の活用や、シューズ、バッグといった周辺アイテムの開発強化などによって販路開拓を加速する。

 プーマは15年の入学商戦から販売を本格化し、累計で220校に採用されている。今年の入学商戦では20校で採用された。プーマはサッカーを中心に中高で人気があることに加え、プーマジャパンと情報交換をしながら採用校の増加につなげる。

 プーマではアパレル製品以外のシューズやバッグなどの企画も進めている。学販スポーツでは一部のメーカーが撤退しつつあり、シェア拡大の機会が出てきた。シューズではサイズごとの備蓄などさまざまなリスクが考えられるものの、サンプル作りをしながら、25年の入学商戦には本格的な販売を想定する。

 また、グループ力を活用し他の学生服メーカーや学販スポーツの専業メーカーにはできない開発にも力を入れる。高強度の「タフリー」、吸放湿性の高い「ハイグラ」、クーリング性と接触涼感性を併せ持つ「サラクール」、複重層糸「パルパー」など、ユニチカ独自の厳選した差別化素材を使った商品開発も進める。

 22年入学商戦から導入している自動採寸システムも普及させていく。現状のシステムは、生徒自身が採寸し、写真を撮って同社のシステムに送ると、推奨サイズが返ってくるという仕組み。今後は受注機能を付加し、シェア拡大への販促ツールとして活用を図る。

〈昇華転写やピストレなど堅調/「アンダーアーマー」販売けん引/トンボ〉

 トンボのスポーツMD本部は今春の入学商戦で、昇華転写プリントや、ウオームアップウエアの「ピストレ」などの商品の販売が堅調に進んだ。今期(2024年6月期)は、生産体制の強化なども視野に入れながら安定した生産につなげる。

 全国的にニーズが高まっている昇華転写プリントは「学校オリジナル対応としての引き合いが多い」ことから、採用が好調。独自の軽量ポリエステルニットの「ピステックス」を採用するピストレも機能性やデザイン性など、「差別化商品としての評価が高い」ことから採用校数を伸ばす。ライセンスブランド「ヨネックス」も採用校獲得に寄与した。

 来年の入学商戦に向けても攻勢をかける。同社は昨年、スポーツブランド「アンダーアーマー」のスクールスポーツウエアを発表し、今春の入学商戦を皮切りに提案を進めている。来春に向け、「同ブランドの影響力が大きく好調」と販売をけん引する。同社は「業界の変化に対応しつつ、アンダーアーマーの提案を強力に推進していく」とする。

 生産面では、縫製のトンボ倉吉工房スポーツ館(鳥取県倉吉市)で2年前に1ライン増設し4ライン体制を敷いた。これによって安定した生産点数を確保できている。

 今期は国内の自社生産比率を向上させるため、縫製ラインを1ライン増設することを計画する。設備の導入によってシーズン対応の強化を図る考えだ。採用が増加傾向にある昇華転写に関しては、今ある設備を活用しながら生産性の改善を進める。

 原材料費や加工費、運送費などさまざまなコストが上昇している。同社は「将来的には価格改定を検討する可能性はある」とする。