山陽染工/産地ならではの開発を/製品事業も強化
2023年08月24日 (木曜日)
染色加工の山陽染工(広島県福山市)は、産地工場と連携しながら、拠点を置く三備産地の強みを生かした加工開発に力を入れている。戸板一平取締役は「当社、もしくはこの産地でしかできない開発がキーワードになってくる」と話す。本業の加工に加え、製品事業も強化する。新ブランドの立ち上げも計画しながら拡販する。
加工ではこのほど、産地企業と連携し、光沢感を出すチンツ加工を施したインディゴ染めの生地を開発した。リネン100%の生地に同加工を施したもののほか、綿65%・セルロース繊維「レクセル」35%の生地に墨チンツ加工を付与したバーバリー生地など、バリエーションをそろえて提案している。今年5月に東京都内で開かれたビジネス商談会「プレミアム・テキスタイル・ジャパン(PTJ)24春夏」で披露したところ、「反応が良かった」と言う。
このほか、ベージュやピンクにスレン染めした生地へ、さらにインディゴ染めを施した生地も開発。洗い加工などを施すとインディゴが色落ちし、スレン染めした色が浮かび上がる。こちらもPTJで人気が高かった。
海外販路の開拓も推進する。10月にオランダ・アムステルダムで開かれるデニム関連の展示会「キングピン」に初出展する。戸板取締役は「ブルーデニムだけでなく、カラーものなどもそろえながらアピールしたい」と話す。また、継続的に出展しているイタリアの国際的な服地見本市「ミラノ・ウニカ」も来年の出展を予定する。
製品事業にも注力する。同社は、部分的に色の抜け具合を変えることで濃淡を表現する、独自技術の「段落ち抜染」を生かした製品ブランド「バッセンワークス」を展開する。一方で「段落ち抜染以外にも特徴ある加工がある」として、加工の技術力を生かした新ブランドの立ち上げを計画する。
2020年に福山市内にオープンした、地元企業のブランド品など、産品を取り扱うセレクトショップ「フクヤマモノショップ」では、全国の百貨店催事での発信に力を入れている。併せて、地元団体の記念品を製造するOEM案件など「実店舗以外の売り上げが増えてきた」とし、「ショップとの相乗効果になってきた」と言う。




