クラボウ・繊維事業/基盤作り収益力高める/独自技術とコト売りで
2023年09月07日 (木曜日)
クラボウの繊維事業は、衣料市場の回復傾向が明確になる中、攻勢を強める。繊維事業部長の北畠篤取締役兼専務執行役員は「独自技術とコト売りを浸透させ、基盤を作りながら収益力を高める」と話す。衣料品需要の活発化で、突発的な受注にも対応できるグローバルでの生産連携によって「瞬発力で注文を受けられる体制」で臨む。
繊維事業の第1四半期(4~6月)は、新型コロナウイルス禍のロックダウン(都市封鎖)による生産・物流の混乱を想定し、多めに在庫を持つ動きが活発になった昨年の反動を大きく受けて減収、営業損益が赤字に転落した。ただ、「予算ベースで見ると4~6月は各事業とも健闘している」(北畠氏)。
原糸販売では若手営業担当者の成長とともに、独自技術の原綿改質による機能糸「ネイテック」など差別化糸の販売が拡大した。カジュアルは予算だけでなく前年同期比でも増収増益と堅調。徳島工場(徳島県阿南市)で加工した合繊素材シリーズなど「新しい時流に合った素材を打ち出せている」ことが奏功した。
ユニフォーム地の販売は、出荷ベースで前年同期を下回っているが、「契約ベースでは増えている」として下半期からの回復を期待。ユニフォーム部と連動して販促する体調管理システム「スマートフィット」では、スマホレス型ウオッチの投入などで大口受注も出てきた。体調の改善結果を見える化したサービスを始めるなど、労働安全への意識を高める企業のニーズを捉える。
通期(2024年3月期)では売上高520億円、営業利益4億円を計画している。衣料市場で回復傾向が見られる中で「在庫調整が終わってくれば再び受注が活発化してくる」と見通す。海外拠点と外注工場の連携を深めながら、取引先がヒット商品を増産するといった、突発的な注文にも「短サイクルで対応」できる体制で取り組む。
コト売りでは裁断くずなどを独自の開繊・反毛技術で再資源化する「ループラス」での取り組みが広がる。アパレルメーカーや百貨店、行政などとの連携が進む。海外からも引き合いが増えており、タイ・クラボウに反毛機を導入するなど、対応力を高める。