特集 アジアの繊維産業(10)/わが社のアジア戦略/双日/一村産業/クラボウインターナショナル/QTEC

2023年09月27日 (水曜日)

〈双日/中国での生地拡販を推進〉

 双日の繊維事業は、素材から製品まで独自の提案ができる体制を活用し、ビジネスモデルの成長を図っている。糸や生地の開発から自社で手掛けられる強みも生かし、顧客からくみ取ったニーズに迅速に対応するサービスを絶えず追求する。

 双日ファッション、双日インフィニティ、第一紡績の事業会社3社を擁しているが、中でも双日ファッションは、独自に企画開発した生地を備蓄し、注文に応じて短納期で出荷するというビジネスが堅調に推移しており、特に、中国を中心に海外市場の開拓を推進している。

 中国子会社の双日奔時代〈上海〉貿易において同様のビジネスを展開し、業績を伸ばしている。中国でも高品質の生地が求められる状況に合わせた営業活動が奏功したためで、さらに攻勢を強める姿勢も見せる。

 「インターテキスタイル上海」に積極的に参加するだけでなく、個展を自社で開催する機会も増えている。

 来年4月には四川省成都で初めて個展を開き、成都市場の開拓を推進する。成都は消費地としての注目度の高さに加え、新興ブランドも活発化しているという。日系生地商社の備蓄品のニーズが見込めるため、同地でのビジネスチャンスを追い求めていく。

〈一村産業/アジア4極製販を深掘り〉

 一村産業(大阪市北区)は繊維事業で、中国、ベトナム、インドネシア、インドの海外4極での生地生産をさらに拡大させるとともに、それぞれで販売拡大にも臨む。

 柴司取締役繊維事業部門長によると、中国、ベトナム、インドネシアで生産(仕入れ)した生地は第1四半期(2023年4~6月)、金額ベースで前年同期比8%減少した。

 下半期はインドも含めて海外生産全体を拡大に転じさせる。スペースのタイト化、納期の長期化が続く北陸からのシフトのほか、アジア全体で縫製地の分散化や地産地消の流れが強まっていることに対応した施策でもある。

 中国やベトナムで協力工場との取り組みを太くしていくほか、付加価値品へのシフトも進める。

 納期、価格、品質のそれぞれで最適生産地を見極め糸、織・編み、染色の各工程で分解、組み合わせていく。

 販売面では、同社繊維事業の主要商材であるポリエステル短繊維織物の販路開拓を進める。現状は90%が中東民族衣装向け。「中東以外」の実現のため、昨年には「多角化グループ」も立ち上げ、開拓作業を進めている。非衣料向けの販売拡大も重要テーマに位置付ける。

〈クラボウインターナショナル/ベトナム縫製を高度化〉

 クラボウインターナショナルは日本以外の縫製地として、中国、インドネシア、バングラデシュ、ベトナム、カンボジア、ミャンマー、その他を顧客の要望に応じて使い分けている。今後もそれぞれの国の特性や強みを見極めた上で、効率生産も念頭に最適地生産を志向する。

 中国はレディースを中心とした小ロット・QR対応、インドネシアはユニフォームを軸とした品質安定性と短納期対応、バングラデシュは主に価格訴求型商品への対応、ベトナムは小・中ロットと高付加価値品への対応――と位置付ける。

 中でもベトナム縫製の高度化が直近の話題。以前は中・大ロットを縫製する国として活用していたが、小・中ロット中心に切り替える。そのため協力工場も探索、契約した。中国ほどではないが、糸・生地や副資材を現地調達できるのもベトナムの強み。この強みを最大限発揮するため目下、顧客との取り組み型ビジネスを進めている。東京支社で初めてベトナム縫製内見会も開いた。地政学的リスクからチャイナ・プラスワン機運が改めて高まっていることが背景にある。

 国別の内見会はバングラデシュでも予定し、バングラデシュ安定生産体制もPRしていく。

〈QTEC/身近な存在アピール〉

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)は、バングラデシュの強化・拡大を図っている。今年2月にQTECダッカラボラトリー(ダッカ試験センター)を現地法人化しており、繊維製品などの試験・検査はもちろん、生活面などのサポートも行う「身近な存在」としてニーズをつかむ。

 ダッカ試験センターで取り組んでいるのが機能の高度化だ。例えば遊離ホルムアルデヒド試験の引き合いがベビーで増えており、今年度中に試験機を拡充して需要増や納期に対応する。保温性や吸水速乾などの機能性試験にも応じる。

 強みの一つである知見も生かす。日系検査機関として最初にダッカに試験室を設けたのはQTECで、「国情などをよく知っている」とし、日系企業の日本人駐在員に対する生活面への助言といったサービスも提供する。

 海外拠点では、ベトナムの成長にも期待する。業務提携先との連携でさまざまな試験に応じているが、対応可能な試験を増やす。有機フッ素化合物(PFAS)の一種であるPFOSやPFOAなど制限化学物質リスト(RSL)への対応試験にも目を向けている。

 中国では、無錫試験センターを上海可泰検験の分公司とするなど、安定化を図った。同試験センターでは羽毛関連でトレーサビリティー明確化のための新サービスを実施する。