中国OEMの魅力再発見「AFF・東京2023」レビュー(中)/技術やQRで東南アに対抗
2023年09月28日 (木曜日)
中国では人件費の上昇で生産コスト面でのメリットは薄れてきた。それでもこれまで培った縫製技術や提案力には定評があり、日本市場で新たな需要開拓を進める。
帝聖紡織品貿易は機能性スポーツ・カジュアルウエアに特化するメーカーだ。上海市に販売会社、安微省明光市と江蘇省南通市、カンボジアに自社工場を構える。中国国内3カ所とミャンマー1カ所にも協力工場があり、最適地生産に取り組む。生地開発や製品企画力、QRも強みだ。
日本向け商品が70%、欧州向けが30%。今展示会では発熱や接触冷感、抗菌、防水、透湿などの機能性素材を用いた製品をアピールした。
軍政下のミャンマーからの調達を停止する日欧企業が増えている。このため同社もミャンマーに協力工場を持つが、ここでの生産は縮小傾向だと言う。
済寧思博特運動製品はカットソーアイテムとグローブ(手袋)のメーカーだ。山東省済寧市に自社工場を持つ。日本向けはカットソーが全体の85%、グローブは50%を占める。「安定した取引ができること」(同社)が日本市場の魅力と言う。
今回展では、吸水速乾や接触冷感といった機能性の高いTシャツやパーカなどを打ち出した。「日本市場が求める衣料品のレベルは高く、工場のレベルアップにもつながっている」と同社。
人件費の安い東南アジアの工場の台頭は不安材料だが、ファスナーやボタンといった副資材の調達力のスピードや製品の品質の高さで差異化を図る。
大連沛澤貿易はカジュアル衣料全般に加え、パジャマや浴衣など幅広く縫製する。自社工場は大連に2工場、ミャンマーに1工場持つ。日本向けが95%を占め、残り5%が欧米向け。東京都台東区に事務所を設けており、日本市場を主体に取引先の拡大につなげている。
小ロットや短納期といったニーズにもきめ細かく応える。最近はオーガニックコットンやリサイクルポリエステルなど、環境に配慮した素材を重視する日本企業が増えていると言う。
縫製工場の繁忙期と閑散期の差を減らすことが課題で、年間を通じて生産量を均一にできるよう改善策を検討中だ。
泉州東明貿易は野球やテニスなどのスポーツウエアを手掛ける。福建省泉州市の自社工場で生産する。日本向け製品は10%にとどまり、残り90%は欧米と中国国内向けだ。日本市場の開拓を狙い出展した。縫い目がないシームレス製品が注目を集めたと言う。
欧米との取引が多いため、国際基準であるGRS(グローバル・リサイクル・スタンダード)認証なども取得。同認証は、製造面で糸くずなどから作ったリサイクル糸を使うことや、化学物質の使用規制などの要件を満たした企業が取得できる。
同社は「日本向けの輸出が60%を超えたら日本に事務所を開設する」と言う。