ユニフォーム最前線 担当者に聞く23/24(2)/秋冬でも存在感高める/シキボウ 繊維部門繊維営業部 ユニフォーム課長 川口 雄司 氏
2023年09月29日 (金曜日)
――上半期(4~6月)の商況は。
受注は好調で、ほぼ新型コロナウイルス禍前の2019年度の売上高に戻っています。接触冷感性など機能性を付与した高通気生地「アゼック」などの販売が堅調です。
――SDGs(持続可能な開発目標)に関連し、環境配慮型素材などのラインアップも充実されています。
新内外綿さんと連携して取り組む、廃棄繊維のリサイクルシステム「彩生」による提案を粛々と進めています。フェアトレード綿糸「コットン∞」(コットンエイト)や生分解性ポリエステル短繊維「ビオグランデ」も商談が活発になっています。
――オフィスウエアの23秋冬新商品に台湾敷紡の生地が採用されていました。
合繊素材を軸にトリコットや織物を供給できる体制を敷いています。抗ウイルス加工「フルテクト」など機能加工も施すことができます。
――インドネシアの紡織加工会社、メルテックスも21年の火災から復旧し、フル稼働となっています。
新たにドビー織機12台を入れ替えました。平織りやツイルだけでなく、ドビー織りの生地も投入できるようになりました。シキボウ江南(愛知県江南市)で染色整理し、より差別化した生地の供給にも対応していきます。
シキボウ江南には起毛機の導入も予定しています。当社はアゼックなどで春夏に強いイメージを持たれているが、秋冬向けは弱い。ユニチカトレーディングさんとの連携や台湾の合繊素材を活用しながら、秋冬でも存在感を出せる素材開発を進めていきます。
――ファッションブランド「アンリアレイジ」との連携は。
企業別注向けの提案が進んでいます。企業のイメージやエンゲージメント(組織への愛着心)の向上につながるユニフォームを供給できれば。
――下半期から値上げによる利益回復の効果を出せるか課題です。
売り上げは伸びていますが、利益は戻っていません。円安に加え、エネルギーコストの上昇が続いており、苦戦を強いられる可能性があります。
これまでユニフォームでは価格が安くないと売れないという状況が続きました。しかし、その認識を変え、アパレルメーカーはもっと強気の価格設定による商品開発、ブランド力の向上に取り組む必要があると思います。そうでなければ若い世代がこの業界に入ってこない。付加価値の高い素材を供給しながら、ブランド力の向上に取り組むアパレルメーカーをしっかり支えていければと考えています。