中国OEMの魅力再発見「AFF・東京2023」レビュー(下)/日本の細かな要求にも対応
2023年09月29日 (金曜日)
今回の出展企業を見ると、日本市場の要望に前向きに応えようとする姿が目を引いた。中でもポイントとして挙げる企業が多かったのがロットや納期だ。各社は「自社工場で生産しているので細かい要望にも対応できる」と強調した。また「環境対応」を口にする企業も目立った。
張家港市天騰紗業は、コアヤーンを主力とする企業。紡績機10万錘のほか、溶融紡糸設備やテクスチャリングマシンなどを保有している。昨年に村田機械のボルテックス精紡機「870EX」を8台導入し、生産ラインと製品の品質をグレードアップした。
売上高全体の約20%が日本向けで、数量は着実に伸びていると言う。日本向けは今後も積極的に伸ばす方針で、ボルテックス精紡機で抗ピリング性を高めたコアヤーンなどを提案した。環境対応では、「エコテックススタンダード100」「GRS(グローバル・リサイクルド・スタンダード)」などの認証を取得していることをアピールした。
南通同順服飾(南通同順輸出入)は、婦人と紳士のニット製品の生産を中心としている。江蘇省・南通に自家工場を持ち、丸編み機と横編み機を約50台設置し、リンキングミシンなども保有している。元々は中国の商社を通じて日本市場に製品を展開していたが、2019年に自社での直接取引に乗り出した。
日本向けは約10年間取り組んでおり、売上高に占める割合も約80%と高い。東南アジアがライバルとするが、品質面での優位性と直接取引によるコスト抑制で差別化を図るとする。早ければ今年中に日本国内に事務所を設ける予定で、準備を進めているとした。
南通ホ楽進出口は、布帛の婦人衣料がメインで、紳士布帛衣料品も30%を占めている。南通に自社工場を持ち、織機50台、編み機5台、ミシン150台、自動裁断機、プリント機などを設置している。日本向けが全体の85%を占め、欧州向けが10%、中国内販が5%と言う。
主力である日本向けは厳しい状況が続いているとし、今回のAFFは新規顧客の開拓を目的に出展した。自社工場での生産を生かして小ロット・短納期にも積極的に応じるとした。拠点も設ける方針で、来年には東京都内に事務所を開設したいと語った。
広東省東莞市の企業は初出展の企業も多かった。東莞市立源服飾はニット製品を主力とし、日本市場への販売は10年以上の実績を持つ。行動規範に照らし合わせた監査を受けるBSCI認証などを取得している。ファンシーヤーンメーカーの東莞市徳嘉紡織は汕頭に自家工場があり、ファンシーヤーンの見本帳も持っている。
広東安靖実業は、熱転写プリントなどを得意とする企業だ。80%が欧米市場向けであり、日本市場はこれから拡大を目指す。人員が300人規模という東莞市の自社工場では自社デザインのプリントのほか、顧客のデザインにも応じている。(おわり)