JFW―JC、PTJ特集(3)/個性際立つ提案を/鈴木晒整理/西川毛織/イチテキ/古橋織布/東レ/東レ合繊クラスター

2023年10月19日 (木曜日)

〈鈴木晒整理/豊富な加工バリエーション/衣料から資材向けまで〉

 鈴木晒整理(浜松市)は豊富な加工のバリエーションを生かし、ファッション衣料向けだけでなく、資材向けの開拓を進める。PTJで約100点の生地を展示し幅広い顧客を取り込む。

 綿100%の生地は従来の起毛よりも加工の回数を増やしたり、針に工夫を加えるなどで、フリースのような質感を表現した。衣料向けはもちろん、アウトドアや資材向けなどを狙う。

 ハリ感を付与する「DM」加工を施した生地は綿100%ながらも、合繊のようなドライタッチやハリコシが特徴。紳士、婦人を問わずユニセックス向けに提案するほか、鞄向けなども想定する。

 経糸に綿、緯糸にポリエステルを配したコール天は綿サイドのみを染めることで、デニム調の見た目に仕上げた。パンツなどボトム向けに訴求する。

 展示のテーマは「さらなる進化と多様性」に設定した。ブース内は「起毛」「コール天」「機能加工」「マルチシーン」といった四つのカテゴリーに分け、それぞれを追求したモノ作りの商材を展示する。

〈西川毛織/イチテキ/ウール軸に幅広い提案/新規顧客の開拓狙う〉

 西川毛織(名古屋市中区)はこれまでのPTJ出展で既存とは異なる顧客の開拓が進んだため、今回も新規顧客の開拓を狙う。会場ではウールを中心に200~300点の生地を展示し、幅広い用途向けに提案する。

 PTJの出展実績として、小規模のブランドやスポーツ、ホームテキスタイル向けなどに採用が進んだ。小ロットでの備蓄機能といった強みを生かしながら、今回も顧客の裾野を広げたい考え。今回展は海外からの来場者が増えると見込み、海外向けも狙う。

 展示する生地はウールとポリエステル混のウールデニムや、インナー向けでウール100%のニットのほか、スーパー140の紡毛糸とナイロンを使い、上質さを表現した商材を並べる。先染めで多彩な色展開にこだわった、ウールとポリエステル混の生地も訴求する。ウールを軸とした多彩な提案でカジュアル向けを強化する。

 いずれの生地も備蓄しており、同社の看板商品として売れ行きも好調だ。来場者のイメージを高められるよう、会場では最終製品と合わせて展示する。

〈古橋織布/落ちわた活用した生地など/シャトルの欠点を魅力に〉

 古橋織布(浜松市)は落ちわたの再利用のほか、シャトル織機の特性を生かした提案を進める。今回のPTJでは高密度の綿織物を中心にリネンなどを含めた約80点の生地を展示し、同社のモノ作りを訴求する。

 イチ押し生地として、大正紡績が手掛ける、落ちわたを活用した綿糸「ラフィ」シリーズを使った新作を提案する。

 経糸に綿の80単、緯糸に30単のラフィを使った生地はシャツ向けに提案する。ナチュラルな色合いとソフトな質感が特徴だ。

 経糸に綿の20単、緯糸に16単のラフィを使ったバフクロスは段状の色むらが特徴。シャトル織機は製織の際に色むらが発生してしまうが、これまで欠点としていたものをあえてシャトル織機の味として提案する。ジャケットやパンツ向け。

 麻素材も訴求する。リネン100%のウェザークロスはソフトで良質な肌触りに仕上げ、シャツやパンツ向けに展開する。最近海外向けで採用も決まった。以前まではヘンプ100%で展開していたが、原料の入手が困難なため、リネンに置き換えた。

〈東レ/環境配慮型を多用途で/最新加工人工スエードも〉

 東レはPTJを通じて、接点のなかった新規顧客の開拓、主力素材ブランドの認知度向上に結び付けてきた。初出展の2011年以来、継続出展しており、24回目となる今回展では人工スエード「ウルトラスエード」、繊維リサイクル事業ブランド「&+」(アンドプラス)などを訴求する。

 ウルトラスエードは「プルミエール・ヴィジョン」「ミラノウニカ」で発表した24秋冬向けの最新加工バリエーションを中心に、自社工場で回収したフィルムくずなどの産業廃棄物や植物由来の再生資源を粗原料の一部に使用した品種も多数展示する。

 アンドプラスでは回収ペットボトルによる再生ポリエステル繊維使いのテキスタイルを訴求。部分植物由来ポリエステル繊維の「エコディア」、プレコンシューマー(主に工場内)再生繊維の「エコユース」など、同社の環境配慮型テキスタイルも多用途向けに提案する。

 ブースではサステイナブル・テキスタイル提案の一つとして「MIDDLA」「Ohal」のデザイナー、安藤大春氏によるオリジナルの衣料品も展示する。

〈東レ合繊クラスター/14年以来のJC出展/バイオナイロン使い訴求〉

 東レ合繊クラスターは2014年以来のJFW―JC出展となる。「テキスタイルビジネスは多くの人に見て、触って、聞いてもらう」のが基本との考えから、そのきっかけづくりの場として集客力のある同展に久々に出展する。

 今回展ではバイオナイロン糸使いの環境配慮型テキスタイルや軽量、高強度が特徴の炭素繊維と異素材の交織ドビーで意匠性のあるテキスタイルを提案する。

 バイオナイロン糸100%使いは2重織とリップストップをラインアップ。2重織は22デシテックス(T)糸を使用し、軽量で肌触りのドライ感が特徴だ。リップストップは11T糸を使い細繊度の超軽量テキスタイルとして打ち出す。

 東レ合繊クラスターは04年に創設された。産地の川中企業それぞれが持つ経営力、技術力を結集して世界に類例のない原糸から高次加工一貫で連携する。強みである「産地連携」を前面に出し、最近ではつくる責任、パートナーシップの意識も持ち合わせて発信し続ける。出口戦略も徐々に確立されているが、さらに広げる一環として今回の出展となった。