台湾「TITAS」展/循環型生産を各社訴求/新光合繊が「レニュー」糸披露
2023年10月20日 (金曜日)
【台北=岩下祐一】17~19日に台北市で開かれた素材・繊維機械展「第27回台北紡織展」(TITAS)では、地場大手合繊メーカー各社がポリエステルの循環型生産の仕組みをこぞってアピールした。その中で新光合成繊維(シンコウ)は、同分野で先行する伊藤忠商事のケミカルリサイクルポリエステル「レニュー」使いのフィラメント糸を初披露した。
今回展のテーマの一つが「サステイナブル・エコ」。特に目立ったのが、生地や縫製工場の端材、回収した古着から新しいポリエステルにリサイクルするシステムの提案だ。
シンコウは、レニューを使って生産したフィラメント糸の独自ブランド「シグマ」を訴求した。
力麗グループは、マテリアルリサイクルによる循環システム「CRZ」(クローズド・ループ・リサイクル・ゼロ・ウェイスト)を発表。遠東新世紀(ファーイースタン・ニューセンチュリー)や南亜塑膠工業(ナンヤプラスチック)、集盛実業(ジグシェン)、興采実業(シンテックス)も、同様の提案を行った。
これまで循環型生産のポリエステルは糸値が割高で、「欧米ブランドは様子見が多かった。合繊メーカー各社が参入したことで値段が下がり、普及が進みそうだ」と台湾の繊維産業連合会、紡拓会の黄偉基秘書長は話す。
〈伊藤忠Gなど/レニュー糸を台湾生産へ〉
伊藤忠商事グループ(G)とシンコウは、今月からレニューを使ったフィラメント糸の展開に乗り出した。欧米や日本ブランド向けを手掛ける台湾の生地メーカーやコンバーターへの拡販に取り組む。
同グループはこれまで、台湾で中国から輸入したレニューの糸を販売していた。シンテックスなど、10社程度の生地メーカーやコンバーターへの販売を伸ばしていた。
一方、中国製フィラメント糸は台湾では輸入規制の対象で、レニュー糸の輸入もスムーズではなかった。
そのため、輸入規制の影響を受けないチップの形でレニューを中国から台湾に輸入し、シンコウで紡糸する新たな取り組みを今月から始めた。「これにより、レニューの台湾販売を2、3ステージ一気に上げる」と、伊藤忠の中国法人、伊藤忠繊維貿易〈中国〉(ITS)営業第一部の手嶋伸大朗氏は述べる。
同展での生地メーカーからの評判は上々だった。「シンコウの技術力を生かした糸がスムーズに手に入ると、歓迎された」(手嶋氏)。