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上原経糸/撚糸技術で存在感/織り目が際立つ糸

2023年10月23日 (月曜日)

 畳表用綿糸製造卸の上原経糸(かんばらけいし、岡山県総社市)は、独自の太さに糸を撚る技術で存在感を高めている。

 20番手を8本や12本束ねて撚る糸は、「当社にしかできない撚り方」(難波宜吾社長)。安定した糸質になり、畳表に織った時の織り目がはっきりと際立つ。畳表用経糸の整経機に適合するチーズ(円筒形)に巻ける点も強みだ。

 同社は、畳表の経糸に使われる綿糸の撚糸が主力。撚糸した糸を備蓄し、整経を担う企業に卸売りする。ダブルツイスターやアップツイスターの撚糸機を持つほか、珍しい機種の10インチリング撚糸機も備える。

 畳表用経糸はJAS(日本農林規格)で太さや本数の指定があり、新たなことに挑戦しにくい環境にあると言う。本業の傍ら、人工芝や簾、デニムに使われる糸の撚糸にも取り組む。

 イ草の主要産地である熊本を含む九州地方へ畳表用綿糸を供給するのは同社のみで、「変わらず事業を続けていくことに価値がある」と難波社長。村田機械のダブルツイスターで製造中止になる機種があるなど、機器の調達も困難になる中で、廃業した工場から撚糸機を購入するなどの対応で、今後も糸を供給し続けることに注力する。