東洋紡せんい/環境に“えエコと”充実/企業価値向上へ

2023年11月01日 (水曜日)

 東洋紡せんいは、環境に“えエコと”を切り口に環境配慮型素材や仕組みを充実させ、サーキュラーエコノミー(循環経済)への対応力を強める。高品質リサイクル綿糸や、再生アクリルわた、工場排煙由来のポリエステル生地、高品位リサイクルナイロンなど発信。差別化素材とともに、環境配慮型素材で「企業価値を高めていく」(清水栄一社長)ことで新たな販路開拓につなげる。

 高品質リサイクル綿糸「さいくるこっと」は、インドの大手紡績、バルドマンを通じて開発。バルドマンでは織物も生産しており、それらの端材を反毛し糸に戻す。空気を使って反毛することから「繊維にダメージを与えず、バージンに近い風合い」(営業本部の宮嵜勝浩マテリアル事業部長)を出すことが可能。リサイクル綿100%で40単糸まで供給することができる。

 「アクリケア」は、工場で発生する廃棄アクリルをマテリアルリサイクルした再生アクリルわた。抗菌機能アクリル繊維「銀世界」やアクリレート繊維「エクス」などのリサイクルもできる。「アクリルでのリサイクルは珍しい」と言う。

 工場の排ガス由来のバイオエチレングリコールを原料に約30%含んだ糸を使って開発した「スカイイー」は、石油由来のポリエステルと同等の性能を持つ。

 高品位リサイクルナイロン「ループロン」ではマテリアルリサイクルだけでなくケミカルリサイクルも用意。バージン原料に近づけることで食品衛生法にクリアでき、デンタルフロスといった口腔衛生のアイテムにも使用可能。食品や衣料、資材など幅広い用途に提案できる。RCS(リサイクル・クレーム・スタンダード)認証基準の取得も予定する。

 他にも自社グループ内の縫製工場で発生する端材をマテリアルリサイクルする「T2T」や、生分解性ポリエステル繊維「アースケア」の抗ピル短繊維なども訴求する。これらの素材を大阪市中央区の綿業会館で2日まで開催中の「東洋紡グループ繊維総合展」で紹介。7~9日には東京都台東区の東京都立産業貿易センター台東館でも総合展を開く。