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三菱ケミカルグループ/伊の自動車部材会社買収/炭素繊維の長期的成長へ

2023年11月01日 (水曜日)

 三菱ケミカルグループは、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製自動車部材を製造販売する伊CPC社の全株式取得を決定した。2017年に同社株式の44%を取得しており、今回の全株式取得で炭素繊維事業の長期的な成長を加速する。株式取得は、規制当局の承認を経て今年末に完了する。

 CPC社は、部材の設計・シミュレーションに加え、炭素繊維複合材料の成形、金型の設計・製造、複合材料の塗装、部品組み立てなど、自動車部材分野におけるさまざまな技術的専門知識とノウハウを持つ。大型複合材料部材の開発・成形に特化した世界最大級のプレス設備も保有する。

 三菱ケミカルグループは、CPC社の設計力、成形技術、開発力、提案力、欧米自動車メーカーとの商流ネットワークを活用することでシートモールディングコンパウンド(CF―SMC)や圧縮成形プリプレグ(PCM)をはじめとする炭素繊維複合材料の自動車部材への採用を加速する。

 両社のパートナーシップは、バイオベースやリサイクル炭素繊維の中間材料開発など、将来に向けて持続可能なソリューションを提供するためのさらなる協働を予定している。三菱ケミカルグループは「今回の全株式取得は、炭素繊維市場に完全なソリューションを提供するというコミットメント再確認の重要な契機」とコメントした。