繊維ニュース

上海華コウ化学/PTT「BioDex」訴求/ホーチミンのVTG展で

2023年11月02日 (木曜日)

 【ホーチミン=岩下祐一】ベトナム・ホーチミンで10月25~28日に開かれた素材と製品、機械の展示会「ベトナム国際テキスタイル&ガーメント産業展」(VTG)で、上海華コウ化学が部分植物由来のPTT(ポリトリメチレンテレフタレート)繊維を使ったサステイナブル素材ブランド「BioDex」の糸を出展した。現地に工場を持つ国内外の生地メーカーを開拓することが狙い。

 ベトナムでは、糸・生地の工場の新規稼働が相次ぐ。欧米向けを手掛ける工場からのサステイナブルな素材への引き合いが増えている。同社は今回展で、BioDexがバイオディーゼルの生産過程で排出される副産物を再利用し、原材料として使っていることを訴求した。

 BioDexは、PTTの原材料である1,3―プロパンジオール(PDO)の生産技術を持つ上海華コウ化学が、帝人のPTT重合紡績特許ライセンスを取得するなどし、生産している。原材料の生産はシンガポール、PTTと糸の生産は中国で行っており、量産体制を確立している。編み物と織物向けの仮撚り加工糸(DTY)と、延伸糸(FDY)の幅広いラインナップを展開している。

 アパレル向けなどの販売では、伊藤忠商事グループと提携する。伊藤忠繊維貿易〈中国〉(ITS)がBioDexの独占的ライセンスの供与を受け、販路を広げようとしている。

〈アフリカ進出支援/ARISE社が講演〉

 ドバイに本社を置くARISEインテグレイテッド インダストリアル プラットホームズのホーチミン駐在事務所のビ・グエン代表は10月27日、同展で講演した。同社がアフリカのガボン、トーゴ、ベナン共和国の3カ国で運営する工業団地を紹介し、安価な人件費や税制上の優遇措置などの優位性を紹介した。

 ベトナム企業はこれまで、カシューナッツのメーカーが同社のアフリカの工業団地に進出している。繊維企業の進出はまだないが、ベトナムで人件費が高まる中、同社は今回展に出展し、ベトナム企業進出の可能性を探った。