齋栄織物 残糸やオーガニックシルク活用

2023年11月06日 (月曜日)

 シルク織物製造の齋栄織物(福島県川俣町)は、サステイナビリティーや環境への対応を意識した取り組みを深めている。

 。製織で発生するシルク残糸(余り糸)の活用を始めているほか、有機養蚕で環境負荷を低減したオーガニックシルクを使う生地の販売も開始した。引き合いが強いという海外市場のほか、国内市場への提案も強化する。

 同社は、イタリアの服地見本市「ミラノ・ウニカ(MU)」に出展しているほか、米国向けに生地販売を行うなど、以前から海外市場に目を向けてきた。海外市場深耕の面でもサステ対応は不可欠とし、使用する素材に加え、天然由来の油剤を用いるなど生産工程での環境負荷低減を図る。

 新たな取り組みとして始めたのが、従来は廃棄していた残糸の活用だ。この1年間に同社で発生した残糸は約120㌔。原料メーカーが残糸を有償で引き取り、品質の良い物はシルクパウダーとして活用し、それ以外は絹紡糸に再生する。その絹紡糸を使って齋栄織物が生地を作る。

 残糸は、生地のBtoB展開に加えて、別の事例も出てきた。「SNSで残糸を紹介したところハンドメード作家や一般消費者から手に入れたいという連絡があった」と話す。その声を受けて電子商取引(EC)サイトにアップするとすぐに売れたという。1㌔500円で販売したが、「適正価格がまだ分からない。今後検討する」とした。

 そのほか、オーガニックシルクの提案も開始した。中国産とタイ産の原料を活用するが、原材料は「GOTS認証」を取得している。今年7月のMUで提案し、好評を博した。日本でもこのほど東京都内で開催された生地商談会で初披露した。品質や価格などを考慮しながら混率を変えて提案する。