ユニフォームの 未来はいかに  A+A2023 (1)

2023年11月06日 (月曜日)

コロナ禍で「自分たちのルーツに戻った」

 10月24~27日にドイツのデュッセルドルフで世界最大規模の労働安全・衛生分野の見本市「A+A2023 国際労働安全機材・技術展」が開かれた。労働安全市場への関心が一段と高まるとともに、欧州企業は新型コロナウイルス禍をどのように乗り越え、どう変化したか。A+Aを通じてこれからの労働安全市場の未来を占う。(A+A2023取材班=於保佑輔、秋山真一郎)

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 2021年に開かれた前回展では、コロナ禍によって出展社数、来場者数が大きく減ったものの、今回展では58カ国から過去最多となる2200社超が出展した。ただ、来場者数は6万2千人と、19年の7万3千人に比べ少なかった。日本の出展企業から「前回に比べ少なく感じる」という声があったが、コロナ禍明けの情勢の変化や、ロシアによるウクライナ侵攻の余波が少なからず来場者数に影響を及ぼしているものとみられる。

 A+Aでは欧州から多数のユニフォームメーカーが参加し、最新のコーポレートウエアを発信。機能性のみならずファッション性の高い最新商品やトレンドを知ることができる。出展によって新規顧客を開拓するという欧州メーカーの基本姿勢は、これまでと変わっていない。しかし、コロナ禍前と比べて変化したのは、有力メーカーはより企業体質を強固にしているという点だ。

 「コロナ禍は落ち着いた時間を与えてくれた」と話すのはキューブラーのマーケティング担当、エヴァ・ホーン氏。同社は13年に2700万ユーロだった売上高は、18年に4100万ユーロまで拡大した。元々ドイツのワークウエアSPA、エンゲルバート・シュトラウスのデザインを請け負っていた企業だけに、他社と一線を画すデザイン性の高さが特徴。コロナ禍によって「コアビジネスに集中することができた」として、直近の売上高は5千万ユーロとさらに増え、10年と比べると約2倍になった。

 成長の要因は「自分たちのルーツに戻った」こと。着やすさなど買う人のニーズを徹底的にリサーチ。それを「イノベーションへとつなげる」ことでユーザーの心を捉えた。もちろん混乱したサプライチェーンの中で安定して供給できたことも同社の成長を支えた。

 ユーロ圏の景気は決して良くはない。ブルームバーグによれば、ユーロ圏のインフレ率は約2年ぶりの低水準に減速。特にユーロ圏での影響が大きいドイツの7~9月GDP(国内総生産)は前期比で0・1%減少した。ドイツ経済はこの1年間ほとんど拡大しておらず、リセッション(景気後退)が現実味を帯びている。

 しかし、キューブラーをはじめ、有力メーカーのブースは常に来場者でにぎわっていた。労働安全が成長市場であることも理由の一つだが、やはりユーザーのニーズを的確に捉え、成長戦略を明確に描いているからこそ、多くの人を集めたのだろう。