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ベトナムのコーウィル/ブランド力強化に注力/伊藤忠との協業拡大へ

2023年11月06日 (月曜日)

 【ハノイ=岩下祐一】ベトナムのコーウィルが、地場トップブランドの地位を確立するメンズ「OWEN」(オーウェン)のブランド力の強化に取り組んでいる。資本・提携関係を結ぶ伊藤忠商事グループとの協業を生かし、製品の品質管理の高度化や、最新素材の導入などを進めている。ブランドのオペレーションや、商品開発まで協業の領域を広げようとしている。

 オーウェンの店舗数は500店で、うち80店が直営店、420店が加盟店。顧客の年齢層は25~45歳と幅広い。価格設定は、欧米や日本のブランドよりも10~30%低い。

 同社は近年、欧米、日本、中国の競合ブランドがベトナム市場に参入し、競争が激化する中、オーウェンのブランド力の強化に取り組んでいる。商業施設への出店を増やしているほか、「社内マネージメントの強化やコスト最適化、顧客体験価値の向上などに重点を置いている」と、ゼネラル・ディレクターのファム・ティ・トゥイエット氏は説明する。

 ブランド力強化に貢献しているのが、2015年に資本・業務提携を結んだ伊藤忠テキスタイル・プロミネント〈アジア〉(IPA)だ。IPAのベトナムでの生産背景を活用し、製品のレベルアップを図ってきた。「日本水準の品質が顧客から評価されている」(ファム氏)と言う。

 今年4月、IPAはコーウィルへの出資比率を20%に引き上げ、関係強化を図った。これを機に素材から小売りまで、幅広い分野で協業を深めていこうとしている。

 その第1弾として、オーウェンは伊藤忠商事のケミカルリサイクルポリエステル「レニュー」使いの生地を採用した製品を販売した。ベトナムでは、サステイナブルに対する意識がまだ高まっていないが、「レニュー使いの生地の品質やデザインが顧客から評価された」(ファム氏)。

 同社は、IPAを長期的な戦略パートナーと位置付けている。「ブランドのオペレーションや商品開発にまで踏み込んで協業を進めていきたい」と、ファム氏は語る。

 同社はオーウェンのほか、レディース「WINNY」(ウィニー)、ライセンスブランド「ダンロップ」、IPAを通じて導入したライセンスブランド「ビバリーヒルズポロクラブ」の4ブランドをメインに運営する。ベトナム全土で店舗展開しており、計1千店を持つ。

 新しいブランドの投入も含め、ベトナム市場でブランドビジネスの拡大を図っていく。28年までに、カンボジアやラオス、インドネシアなどのASEAN各国への進出も計画する。