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越・縫製企業のドン・ティエン/中国生産移管の受け皿に/伊藤忠経由で日本向け拡大

2023年11月07日 (火曜日)

 【ドンナイ省=岩下祐一】スポーツウエアを中心に手掛けるベトナムの縫製企業、ドン・ティエンが、伊藤忠商事の現地法人、プロミネント〈ベトナム〉から受託する日本向けを拡大している。同グループの顧客が中国からベトナムへの生産移管を進める中、その受け皿になっている。生産のデジタル化などを進め、生産難度の高い製品に対応できる工場を目指す。

 同社は、ホーチミン市に隣接するドンナイ省で、三つの工場を運営している。第1工場の工員数は900人、第2工場は800人、第3工場は1200人。自社工場周辺の複数の工場に出資している。出資工場の工員数は、計2500人。生産アイテムは、スイミングウエアやスキーウエアなどのスポーツウエアが中心で、編み物製が多い。

 最終顧客は、欧米ブランドがメインで、7割を占める。最大の顧客は、フランスの大手スポーツ専門店だ。日本向けは17%にとどまるが、「ロイヤリティーが高いことから重視している」と、グエン・ゴック・ソン副社長は話す。

 日本向けは、プロミネント〈ベトナム〉からの受託が多い。伊藤忠商事グループとは、30年の取引実績を持つ。今年は欧米向けが前年に比べ15%減る一方、日本向けは増える見通しだ。プロミネント〈ベトナム〉からの受託がけん引する。多くは、中国生産からベトナムに生産を移管してきた新規顧客だ。

 同社は、小ロットから大ロットまで対応できる。1人の工員が複数の業務を行う多能工化を進めており、編み物製から織物製までさまざまなアイテムの生産に柔軟に対応できる点も強みだ。

 当面は、既存工場のレベルアップに取り組む。最新設備を導入し、生産のデジタル化や自動化を進める。「生産難度の高い製品を手掛けることで、競争力を高めていきたい」(グエン副社長)と言う。