ユニフォームの 未来はいかに  A+A2023 (3)

2023年11月08日 (水曜日)

高品質で“捨てなくて良い”

 ユニフォームで欧州と日本での大きな違いとして価格がある。欧州の成長企業の商品の価格帯は、日本のメーカーに比べ3~4倍は違う。日本は30年間経済が低迷し、あまり成長をしていないという面もあるが、それにしてもこの違いはどこから来るのだろうか。

 一つは企業がユニフォームを選ぶ基準として根本的に価格で選んでいないということが挙げられる。ファッション性はもちろん、機能性や動作性などを優先する。企業で着用するユニフォームはコーポレートウエアと呼び、いわば“企業の顔”でもある。

 労働安全に対する意識の違いもある。特にドイツでは労働に関連する法規制が厳しく、雇用主は職場での労働安全を最優先で確保する必要がある。

 スウェーデンのブラックラダーは防炎、溶接、電気アーク、ケミカル、静電気の欧州の五つの規格に対応しながらも、軽くてはき心地の良い高機能パンツを打ち出した。縫い目を熱圧着し、風が入らないようにするとともに、「土砂降りの中でも着用できる」(エリアセールスマネージャーのドミニク・バース氏)ほど高い防水性を保つ。

 特に電気アークフラッシュ(高電流の連続的な放電で、紫外線と強烈な熱を発する)による危険にも対応。電気アークフラッシュの危険性は、電気アークから生じる熱エネルギー、すなわち入射エネルギーで示される。1・2㌍/平方㌢が1秒間皮膚に当たった場合、おおよそⅡ度の熱傷(表皮だけでなく真皮にまで及ぶ火傷)に対する閾値(しきいち=境界となる値)エネルギーとなる。同社のパンツでは10・7㌍/平方㌢に耐え得る機能を持ち、電気関係の仕事へも提案できる。

 価格は220ユーロと高いが、縫い目が裂けた場合には5~6年間の保証を付け、長く着用することができる。特に縫い目がほつれやすいお尻の部分は3重に縫われ、簡単にほどけない。素材も厳選し、「リサイクル素材を使うと結果的に耐久性が落ち、長く使えない」とバース氏。「高品質で捨てなくても良い」という点を訴えることこそ「環境配慮につながる」と強調する。

 ワークウエアからギア、工具まで取り扱うスウェーデンの総合メーカー、ハルタフォースグループはワークウエア「スニッカーズ」ブランドから、将来的なイノベーションと位置付ける商品群の中で電熱式保温(EH)によるウエアや手袋、靴下などのギアを参考出品した。

 EHウエアでは中国製の安い価格帯の商品が欧州でも増えているが、「すぐに故障するなど不具合が多い」(ヘンリー・ランドバーク営業開発部長)。バッテリーは欧州製を採用し「10年間ほど持ち、長く使えることが環境配慮の面でも訴求できる」。

 高品質こそ環境負荷の低減につながるという意識に変わりつつある欧州。環境配慮への意識が高まりながらも価格競争の激しい日本市場で、その考えは浸透するか。まだ少し時間がかかりそうだ。