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トーセン/機能加工などに注力/ボンネル代替はカネカ品に

2023年11月10日 (金曜日)

 わた染めのトーセン(大阪府和泉市)の上半期(4~9月)は、前年同期比減収となった。4~6月は堅調だったが、7月からの失速が響いた。市場環境の不透明感が増す中、「今後はストーリー性のある商品や機能加工などに注力する」(河﨑隆雄社長)考え。

 今年1月から輸出用の新規案件ができたことで4~6月は増収となったが、7~9月は減収だった。7月以降は海外向けが調整局面に入り、カーペット分野なども低調に推移、効率生産のために休日を増やして対応した。

 親会社の三菱ケミカルがアクリル繊維「ボンネル」から撤退したため、トーセンで行っていたボンネルの染色加工も年内で終える。ボンネルユーザーの備蓄確保の動きで10~12月の染色加工量は通常よりも増える見通しだが、来年1月からなくなる。他社製原綿への置き換えを進めるとともに、機能加工などの拡大でカバーを図る。

 カーペット用を柱とする紡績糸向けは、ボンネル代替としてカネカのモダクリル繊維に置き換えていく。既に約80%の置き換えを完了したが、一部は代替が難しい可能性もあり、海外製アクリルも検討していく。

 注力している機能加工は、紡績会社と個々に取り組む形で成果につながりだしており、今後の拡大を狙う。調整局面に入っていた海外向けは10月ごろから回復に向かいだした。色の管理や顧客の要望に沿う色出しなどを強みに、日本でわたを染めて海外に送るニーズが出ていると言う。水やエネルギー使用量削減のため生地染めではなく、わた染めを検討する動きもあり、今後の拡大につなげる。

 エネルギーやユーティリティーの効率的活用や働き方改革などを視点に、稼働日の在り方についても検討していく。