ユニフォームの 未来はいかに A+A2023 (6)
2023年11月14日 (火曜日)
職場の安全性向上に寄与
「A+A2023 国際労働安全機材・技術展」では新たな海外販路の開拓を目指し、日本企業も複数出展した。19年開催時の日本の出展企業は海外の日系企業含め28社、21年の前回展は新型コロナウイルス禍だったこともあり8社と減少したが、今回展は33社と過去最多となった。
さまざまな業界で職場の安全性を重視する傾向が強まっている中、本連載でも触れたように、今回展では高視認性安全服の展示が目立った。これを見据え、日本企業でも高視認性をテーマとした商材をアピールする動きも見られた。
日本企業の中では最多とみられる18回目の出展を果たしたユニチカスパークライト(京都府南丹市)は機能性を高めた再帰反射材を前面に出して展示した。柔軟性を持ち、耐洗濯性にも優れるほか、イエローグリーン、ピンク、ブルーなどのカラーがそろう蛍光タイプの反射材など、バリエーションの豊富さをアピール。データがあればさまざまな柄を施すことができる、セグメント加工による反射材も見せた。
同じく高視認をメインに展示したのは田村駒。「機能美で勝負」として、“メカニカルストレッチ”、高通気、高速吸汗速乾機能などを備えた高視認生地を提案した。また、縫製品も展示し、生地から製品まで対応できる強みも訴求した。
労働安全性を高めるための製品はワークウエアだけにとどまらない。反射シートなど安全用品を製造販売するスリーライク(茨城県龍ヶ崎市)は、熱中対策バンド「Me―MAMORU」(ミマモル)を披露した。独自のアルゴリズムで深部体温を算出し、体のリスクが高まる37・8℃以上を検知すると着用者に通知する。世界的に温暖化が進む中、「ニーズが出てきており、来場者からの声もかなり良い」(水上遵営業企画部長)と販売拡大に期待を寄せる。
製品における環境配慮、サステイナビリティー対応は、欧州ではもはや必須となっている。その中で、日本企業は技術力で一歩進んだ製品を提案する。カネカはモダクリル繊維の難燃剤として一般的なアンチモンを使用していない“アンチモンフリー”の難燃素材をメインにPRした。
高機能性も日本企業の強みだ。東レは難燃素材の「ナフレム」を訴求。従来の難燃作業服は固くて動きにくい素材の採用が多かったが、ナフレムは「ストレッチ性と難燃性を併せ持つ」(トーレ・インターナショナル・ヨーロッパの松下達マネージングディレクター)。その機能性の高さで来場者からの関心が高かった。
副資材を扱う企業も販路を広げるために出展する。3回目の出展となった島田商事(大阪市中央区)は、同社が代理店を務める樹脂製バックル・パーツブランド「デュラフレックス」を提案した。耐久性の高さなど機能面に加え、同社オリジナルカラーをそろえる点も魅力。中国でバッグの縫製ができるという製品提案も同時に行いながら来場者に発信した。